1音ずつ丹念に発音を修正し、最後に合格点をもらうと「はい!」という生徒の返事にも力がこもる。
森川アナが語る。
「私自身、実はすごく“緊張しぃ”なんです。噛んだり、言い間違えをすることもよくあって、失敗をしてしまうと“あぁ、もう明日はスタジオへ行きたくない……”と挫けそうになってしまう。うまくできなくてコンプレックスに感じるのはテレビ局のスタジオでもアナウンススクールの教室でも同じだと思うので、そこで怖じ気づいてしまわないよう、弱点を指摘すると同時に、必ずその学生さんの長所やよかった点を伝えるようにしています」
放送での失敗も伝えたい
森川アナは、生徒が身構えてしまわないよう、時には柔らかい口調で垣根を取り払うよう心掛けているという。授業では、自身の例を積極的に伝える姿も印象に残った。
「授業はまだ昨年の秋から何度か受け持った程度ですし、アナウンサーとしての経験もまだまだなので、経験豊富な講師の方のようなスキルの高い授業は提供できていないかもしれません。だからこそ自分がアナウンサーとして現場で日々悩んだり壁にぶちあたったりした実体験を語れたら、役に立てるのかなと。問題が起きた時にどんな技術があれば対処できるのか、どうすれば伝わるのかなどを、失敗談も包み隠さずに伝えています」
例えば入社から5年の間に学び、編み出したオリジナルの発声練習法を惜しみなく伝授。現役アナの貴重なアドバイスを生徒たちは逐一漏らさずにメモし、授業が終わると列を作って質問にくる。そんな生徒たちの情熱に森川アナも背中を押されることがあるという。
「悩んで落ち込んだ時も、キラキラ輝いている学生さんを見ると、“私も折れないで頑張らないと!”って。授業を通じて得た勇気が日々の仕事の励みにもなっています」