ビール好きにも飲みやすいワインの“喉ごし”
――「ワインサワー」の味わいのポイントは。
吉雄:アルコール度数は5.5%ですが、缶チューハイのように甘くはなく、本当にワインを炭酸水で割り、レモン果汁を加えています。ワインらしさを感じていただきつつ、喉ごしを感じて飲んでいただける中味です。ハイボールがウイスキーの良さを残しつつも飲みやすいように、「ワインサワー」も、通常のワインの良さがありながら飲みやすいものに仕上げました。
現在、ハイボールやレモンサワーなどの缶商品が支持されていますから、ワインもお好きな、あるいはワインにも興味のある方に、缶のお酒の選択肢の1つとしてご好評いただけていると思います。
実際に「サントリーワインサワー」を発売してみて、想定以上にお客様に響いている点が、“レモンひと搾り”です。普段、ワインを飲み慣れていらっしゃらない方からすると、ワインの先入観として、「ちょっと渋いんじゃないか」とか、「濃くて味わいが重いかも」といったイメージを持たれると思うんです。そこで、レモンのひと搾りを加えることで、中味の面からも容器デザインの面からもカジュアルにワインを楽しんでいただける世界観を訴求することができました。
食事にもよく合う「サントリーワインサワー」
――コロナ禍で家飲みが増えた点を捉えて、「ワインサワー」でさらにワイン市場の間口を広げていこうという戦略ですね。
吉雄:この1年の巣ごもり消費で、家庭用ワインの販売はわれわれが思っていた以上に伸びています。それも、20代から30代の若い方々の増加が顕著です。コロナ禍前までは、家庭でワインを飲む方は60代から70代が主力層で、そこに50代の方も少し入ってきている感じでしたからね。
通常のワインですと、たとえば食のペアリングも、カルパッチョや生ハムなどが定番ですが、「サントリーワインサワー」なら普段のパスタ料理やハンバーグなど洋風の食事にもよく合います。新しいお客様にとっては「ワインサワー」の白が、より飲みやすいかもしれません。
もう1つの赤も、味わい的に少し重いと思われていた方にとって、レモンのひと搾りが入ったことで飲みやすくなっています。われわれはこの商品を通じて、「ワインサワー」という新たなカテゴリーを確立していきたいと考えています。
ワインのポテンシャルはまだまだあると思いますし、過去、ビール類や清涼飲料の商品開発に携わってきた私の経験からいっても、新しいワイン商品のご提案余地もまだあるのではないかと感じています。そこをいま、社内でいろいろ議論しているところで、今秋から来年にかけて、また新商品としてご披露できると思います。
