TBSはスノスト起用ラッシュ(時事通信社)
共演シーンについても、本来なら嵐の持ち味であり、いわゆる“箱推し”を加速させていた仲の良さをもっと感じさせる構成・演出にしたいところですが、ファン心理を考えてかそれをしていません。日本テレビに限らず嵐は芸能界にとって大きな存在であり、ファンの愛情もとびきり深いだけに、起用するメディア側も配慮しているのでしょう。
TBSが期待するアドバンテージ
次にTBSは、今春から重点ターゲット層をそれまでの13~59歳から10歳若返らせた4~49歳に変更しました。つまり他局以上に若い視聴者層に舵を切ったことが、先輩世代より次世代ジャニーズの起用につながっているのです。また、次世代ジャニーズが発展途上の段階から起用していくことで結びつきが強くなり、彼らが国民的アイドルになったときのアドバンテージを期待しているのではないでしょうか。
このところTBSはドラマが絶好調の反面、バラエティが絶不調の状態が続いています。そこで今春は番組も出演者もガラッと変えて挑んでいるのですが、まだ次世代ジャニーズ起用は、「長い目で見て粘り強く起用していく」という姿勢が必要な段階。だからこそ視聴率争いでトップを走る日本テレビを筆頭に他局はゲスト出演に留めるなど、TBSほど次世代ジャニーズをフィーチャーしていないのでしょう。
最後に話を嵐メンバーの共演に戻すと、現在は大野智さんと松本潤さんが事実上の休養中であり、「3人の共演しか望めない」という状態。もし2人がドラマや映画に出演すれば番宣という形で、櫻井さんの『1億3000万人のSHOWチャンネル』『news zero』(日本テレビ系)や『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)、相葉さんの『I LOVEみんなのどうぶつ園』、『VS魂』(フジテレビ系)、『相葉マナブ』(テレビ朝日系)、二宮さんの『ニノさん』での共演が期待できるでしょう。
民放各局が期待しているのは、そんな嵐メンバーの共演にSixTONESやSnow Manら次世代ジャニーズが加わって番組が盛り上がること。それはジャニーズアイドルだからではなく、ビジネスとして成果を挙げる上での理にかなった戦略なのです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。