国内

新型コロナワクチン 英米より高い日本での副反応発生頻度

副反応とみられる報告が相次いでいるアストラゼネカ製のワクチンも国内では5月に承認の見通し(写真/アフロ)

副反応とみられる報告が相次いでいるアストラゼネカ製のワクチンも国内では5月に承認の見通し(写真/アフロ)

 4月12日から一般向けのコロナワクチン接種がスタート。コロナ対策は新たなステージに進んだが、気になるのは副反応だ。厚労省が4月5日に発表した『新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要』という報告書によると、医療従事者への接種が始まった2月17日から4月7日までの間で、接種後20日以内に6人が亡くなったという。ワクチン接種をするのは人種も性別も年齢も千差万別。果たしてリスクの違いはあるのだろうか。

 まず海外の事例と比較して指摘できるのは、日本における副反応の発生頻度の高さだ。前出の厚労省の資料によると、ワクチン接種100万回あたりのアナフィラキシー報告数は、アメリカ4.7件、イギリス17.7件だったのに対して、日本は72件だった。英米両国は日本よりコロナの感染者数がケタ違いに多いことで知られているが、副反応のリスクに限れば、約4~15倍も日本の方が高いことになる。

 次に性別。数値を見ると、男性よりも女性に副反応が出る可能性が高い。厚労省によれば、4月4日までにワクチンを接種した医療従事者のうち、アナフィラキシーが報告されたのは79件だったが、そのうち女性が71件で男性が8件だった。

 この傾向は海外でも変わらず、CDC(アメリカ疾病対策予防センター)の調査では、アナフィラキシーが報告された71例中68例が女性だった。またスイスでも、ワクチンの副反応が出た597例のうち68.7%が女性だったという。なぜ、副反応は女性に集中するのか。

「エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンは免疫細胞の表面に結合し、その相互作用でより強い免疫反応を引き起こすことがあります。ワクチン接種で免疫機能が活性化したら、女性ホルモンの影響で“過剰な免疫反応”が発生し、自分の体を攻撃するリスクがあるのです」(国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授・一石英一郎氏)

 日本の死亡例6件のうち、女性が4件に上ることも気になるところだ。

 最後に年齢について。

「厚労省の研究班は、2回目の接種後に全体の38.1%が発熱するにもかかわらず、65才以上に限ると9%にとどまることを発表しています。このことから高齢者への副反応の可能性は低いといえるでしょう」(全国紙社会部記者)

 しかし、先行している海外の例を見ると状況は別だ。医療ジャーナリストの鳥集徹氏さんはいう。

「体力の衰えている高齢者は強い副反応が出た場合、それに耐えられるでしょうか。ノルウェーでは、接種した高齢者が6日以内に23人亡くなっています。ワクチンが原因かどうかわかりません。ただ、『高齢者は副反応が出にくい』と拡散しすぎるのもよくない。大事なのは打ちたくない人の意思も尊重し、その権利を守ることなのです」

 過信せず、正しく怖がり、個々人の環境に合わせて判断するのが大事なのだろう。

※女性セブン2021年4月29日号

報告された死亡例

報告された死亡例

関連キーワード

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン