国内

導入検討のワクチンパスポート 妊婦や高齢者が不利益被る可能性も

(写真/時事通信社)

昨年4月、緊急事態宣言下の大阪・道頓堀にいつもの賑わいはなかった(写真/時事通信社)

“石の上にも三年”と事前にわかっていれば耐えられる。でも「半年で終わる」「いや、あともう1年」「やっぱりあと3年」と二転三転されたら困るもの。コロナ禍が収束し、日常生活を取り戻すには、まだまだ時間が掛かりそうだ。三菱総合研究所が3月末、感染症や公衆衛生の専門家20人以上に対して、今後の見通しに関する聞き取り調査を実施。『移動の制限がなくなるのはいつからか』という質問に対して、過半数が「2024年末」と答えた。もし自粛生活があと3年続くとしたら、我々はどんな生活を送ることになるのか──。

 ある晩、あなたは買い忘れた夕食の食材を求めて、閉店間際のスーパーにひた走る。汗だくになって入口にたどり着くも、慌てて家を飛び出てスマホを家に置き忘れたことに気づく。それでも店内に入ろうとするあなたに向かい、店員が冷たく言い放つ。

「ワクチンパスポートがないと、入店できません」

 何とか買い物させてほしいと懇願するも聞き入れてもらえず、周囲の客から「なんて常識のないヤツだ」と白い目で見られる──こんな日常が現実になりそうだ。

 ウィズ・コロナの必需品となるかもしれないのが、「ワクチンパスポート」だ。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんがいう。

「ワクチンパスポートとは、ワクチンを接種したことを証明する書類などの総称です。そのパスポートを持つ人は、コロナに感染する可能性が低く、パスポートの提示によってさまざまな社会活動や日常生活が保証されます」

 すでにワクチン接種の盛んな国ではパスポートが導入されている。イスラエルでは、2回のワクチン接種を受けた人に「グリーンパス」と呼ばれる証明書を発行。レストランの利用やイベントへの参加、ジムやプールでのトレーニングなどが認められ、かなり自由に活動できるようになる。逆にこのパスを持っていなければ、外食ですら入店制限されることがあるというわけだ。

 アイスランドやバーレーンでもワクチンパスポートと同等のものが導入された。EUでも6月導入に向けた準備が進み、証明書はスマートフォンで表示できるようになる予定だ。日本では河野太郎ワクチン担当大臣が「国際的にワクチンパスポートが必要な状況になれば、日本も検討せざるを得ない」と前向きな発言をしている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン