室井さんは「接種の際は血栓症に気をつけるべき」と指摘する。
「コロナワクチンは接種後に血栓が生じるリスクが指摘されています。糖尿病患者は動脈硬化が進行しており、ワクチンで生じた血栓が脳卒中や心筋梗塞などを引き起こすリスクが高くなる。接種の際は主治医に相談すべきです」(室井さん)
糖尿病だけでなく、ほかの生活習慣病なども要注意だ。
「糖尿病のほか、高血圧や脂質異常症、肥満など生活習慣病の人は動脈硬化が起こりやすく、血栓が生じた際のリスクが高いので注意すべきです。また心筋梗塞や末梢動脈疾患などの持病がある人も血栓のリスクが高くなる。心房細動の患者も気をつけるべきです」(室井さん)
医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんは、別の観点から、持病のある人に警鐘を鳴らす。
「基礎疾患のある人は、その病気があるから副反応が重くなるというより、合併症が生じた際の『予備体力』が懸念されます。たとえば、重い心不全の人に強めの副反応が生じた場合、体力が持つかどうかわかりません。
実際に厚労省は心臓や腎臓、肝臓などに疾患がある人をワクチン接種の『要注意者』としていますし、生活習慣病の人も、どこかの臓器が悪ければ同様のリスクが生じます。該当する人が接種を希望する場合、必ず主治医の判断を仰いでほしい」
それらの持病のある人は、接種を急ぐ必要はない、と上さんが続ける。
「そもそも基礎疾患を抱える人はコロナ禍であまり出歩かず、感染リスクは高くない。感染リスクより接種のリスクが上回る人は、急いでワクチンを打つ必要はありません」
免疫系の疾患であるリウマチにも気をつけたい。
「イスラエルのテルアビブ大学の研究では、関節リウマチの患者にワクチンを投与した直後に帯状疱疹(ヘルペス)が発症したケースが6例ありました。接種により免疫バランスが変化する可能性があるので、リウマチ患者は注意が必要です」(一石さん)
※女性セブン2021年5月6・13日号