本を読めば、「こんな考えの人がいる」「こんな生き方の人がいる」とわかるわけで、自分が苦しんでいるのは、狭い世間の中のことなんだと気づけます。どんな本を読んでいいかわからなかったら、自分が素敵だなと憧れたり、尊敬できたりする先輩や上司が必ずひとりはいるはずだから、そういう人にどんな本を読んでいるのか聞いてみたらいいでしょう。

「ゆるやかな世間」をもつ

 学校とか会社という「強い世間」ひとつしか持っていないと、どこにも逃げ場がなく苦しくなります。確かに強い世間をもっていればやりがいもあっていい面もあります。けれど、そういうときでさえ、「ゆるやかな世間」を持つこと。学校や会社、家庭に次ぐ第3の場を持つ。これが自分を追い詰めないもうひとつの方法です。

 月に1回でもいいから、昔の仲間と集まってバンド活動するとか、趣味の集まり、ボランティアに参加するとかして、「強力なひとつの世間」だけに頼らないこと。それが精神衛生を保つ秘訣です。

「ゆるやかな世間」を複数もつこと、社会の視点をもつこと。これが「強力なひとつの世間」に属しながら生き延びるための2つの方法です。

 いつも同じ窓からだと同じ景色しか見えないけれど、別の窓があれば別の世界が見える。それは決して大きくなくてよくて、小さな窓でいい。そうして世界を見ながら、同調圧力をうまく受け流して、いまを生き延びてほしいと思います。(談)

【プロフィール】こうかみ・しょうじ/1958年生まれ。1981年に劇団「第三舞台」を結成。1995年『スナフキンの手紙』で岸田國士戯曲賞、2010年戯曲集『グローブ・ジャングル』で読売文学賞受賞など受賞多数。主な著書に、『同調圧力』『「空気」を読んでも従わない』『「空気」と「世間」』『鴻上尚史のほがらか人生相談』『ドン・キホーテ 笑う!』などがある。5月15日(土)〜6月13日(日)、六本木トリコロールシアターで新作舞台「アカシアの雨が降る時」を上演予定。

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