脚本家の坂元裕二とは3度目のタッグ(時事通信フォト)
まず、元夫役にコントトリオ「東京03」の角田晃広さんが抜擢された。当初、出演オファーを受けた角田さん自身、松たか子の元夫役をという唐突さに思わず「何でだよ!」って叫んでしまったとか。
自分の色をどう出すかについても試行錯誤している模様。「僕のリアクションの演技に監督から、『ちょっとやりすぎですね』とイエローカードを出されてしまいました(笑)。まだまだおっかなびっくり、役のニュアンスを探っている最中です」(週刊朝日 2021年4月23日)。
「東京03」は市井の庶民に成りきって魂をのせていく演技がバツグンに上手くて、CMでも角田さんのリアリティに惹き付けられた人は多いはず。特に舞台で見せる角田さんの大ボケ芸、感情がエスカレートし爆発していくそのパワーは右に出るものがいない。その味をどう活かすのか興味津々。
「元夫3人」というドラマの設定も、角田さんにとっては戸惑いの元かも。両脇にいつもの「東京03」飯塚悟志&豊本明長がひかえているのではなく、松田龍平&岡田将生という押しも押されぬ超イケメンスターがいるわけですから。勝手が違いすぎるトリオの中で角田さんの演技がどこまで振り切れていくか。いかに毒の味を見せてくれるか、見所です。
もう1つ仕込まれた「毒」は女優・伊藤沙莉さんの存在です。ナレーションで突如、響いたあのハスキーボイス。存在感がありすぎて何度も顔が浮かんで来ました。伊藤さんのナレーションはとわ子の心情やシチュエーションを説明する役割ですが、ふと伊藤さんと主人公が二重写しになったりして、敢えて松たか子さんをナレーションに使わない理由が「何かの伏線ではないか」という視聴者の声も聞こえたり。
「2つの毒」を今後どう使いこなし見事な薬に転じさせるか。「なるほどこの人たちを配役した意味はこれか!」と膝を打つような爽快な、そして視聴者の浅薄な予測を裏切るようなぶっ飛んだ展開を期待しています。