自転車通勤の一般化には課題も山積
もちろん、利用者自身のマナー、意識の問題であるが、自転車業界はこうした状況をどうとらえているのだろうか。
「自転車の安全教室や講習は小学校で受けた後はなかなか機会がありません。そこで販売店などを通じて、初心者や高齢者向けの自転車教室や自転車の無料点検、電動自転車の選び方情報の発信などの取り組みを行っています。こうした啓発活動を今後も強化していきたいと考えています」(前出の自転車産業振興協会担当者)
GWが明けた5月6日の通勤電車は、運行本数が減便されていたこともあり相当な混雑状況だった。GW中には西村経済再生担当相が「屋外でマスクを付けていても感染が確認される事例の報告が相次いでいる」と発言し、不要不急の外出や移動を控えるよう国民に協力を求めたが、「マスクを付けても感染」というフレーズが注目を集めた。屋外のイベントから通勤にまで懸念が広がりかねないからだ。今後改めて自転車通勤が注目されるかもしれない。
自転車通勤のメリットはコロナ感染対策だけではない。体力維持や四季の移り変わりを肌身で感じる、街の表情、魅力を再発見するなど計り知れないものがある。
とはいえ、現状は自転車専用レーンさえ満足に整備されていないし、オランダのような通勤に自転車利用を促進するための自転車購入時の補助金政策もない。首都圏の場合、自宅から都心の会社まで遠すぎるという物理的な問題もある。そのうえ悪質運転、危険運転がなくならない。
アフターコロナに向け、ニューノーマルで快適な自転車通勤を一般化させていくためには、環境整備を含めた課題をひとつずつクリアしていく必要がありそうだ。
自転車専用レーンのさらなる整備が急務(筆者撮影)