43倍にまで激増した自転車の「交通違反」
自転車人気が急激に高まる中で懸念されるのが、交通違反や事故といったリスクである。
2020年の自転車乗用者の事故件数(自転車乗用者が第1・第2当事者のケース=過失責任あり)は6万7673件で、2010年の約15万件と比べ半分以下に減っている。自転車乗用中の死者数も2020年は419人で、2010年の668人に比べ6割強の水準にまで低下してきている。喜ばしい傾向だ。
その一方で、由々しき事態となっているのが、自転車の交通違反が激増中であること。近年は自動車だけでなく、自転車の「逆走」や「あおり運転」といった悪質なケースも目に付き、社会問題となっている。
警察庁のまとめによると、昨年1年間に全国の警察が摘発した自転車の交通違反は2万5465件と、前年に比べ11%も増加した。警察庁が摘発強化を始めた2006年以降で最多である。件数では2006年の585件のじつに43倍超となっている。
こうした状況を受け、警察庁の有識者検討会は、道交法を改正して新たな少額違反金制度の創設を求める中間報告書をまとめるという事態となっている。
「自転車の取り締まりは厳しくなってはいますが、いまだにヘッドフォンで音楽を聴きながらものすごいスピードを出したり、スマホナビを見ながら車道をヨロヨロ走ったりする若者やサラリーマンも多くて、本当に迷惑極まりないです」(都内にクルマ通勤する神奈川県在住の男性)
コロナ禍でデリバリーサービスが増える中、昨年8月には配達員の男が20代女性に衝突してケガを負わせ、そのまま逃走するという事件もあった。男はその後、ひき逃げ容疑などで書類送検された。
デリバリー需要の増加で、自転車配達員の交通マナーの悪さも問題に(イメージ)