アスピリンと梅干しの組み合わせも相性が悪い(写真/Getty Images)
「多くの薬は、炭酸飲料でのむと著しく吸収率が下がります。熱を下げるためにのんだ解熱鎮痛剤が炭酸水に阻まれて一向に効かず、苦しい思いをしたというケースもある。薬はできるだけ水で服用しましょう」(長澤さん)
かぜ薬をのむ前後は、水以外の飲み物を控えるのが無難だ。アスピリンは、梅干しなどクエン酸配合のすっぱい食べ物との相性も悪い。
「胃腸を守りながら薬効成分を患部に届けるために、アスピリンにはアルミニウムが配合されていますが、クエン酸と結合すると体外にアルミニウムが排出されずに体内に残留してしまう恐れがある。もともと腎臓がよくない人は、アルミニウム脳症になることもあるので注意が必要です」(長澤さん)
薬×野菜の血液サラサラ効果は命にかかわる
処方薬は市販薬に比べて強い成分が含まれていることが多いため、より注意が必要だ。土谷病院薬剤師長の鎌田直博さんは「組み合わせによっては命にかかわるケースもある」と指摘する。鎌田さんが真っ先に挙げるのが、脳梗塞や心筋梗塞の治療に使われる「ワルファリン」と納豆だ。
「ワルファリンは血液をサラサラにして血栓をできにくくする薬です。納豆には腸でビタミンKを増やす納豆菌が含まれていますが、ビタミンKはワルファリンの作用を阻害してしまいます。服用している間は摂取を避けましょう」(鎌田さん)
ビタミンKはクロレラやパセリなどの緑黄色野菜にも多く含有されている。ワルファリンの服用中は血液が固まりにくくなっているため、“血液サラサラ”をうたう食品も避ける必要がある。
「しょうが、玉ねぎ、にんにくなど血行をよくする効果のある食品を食べすぎると、出血のリスクが上がるうえ、けがなどで一度出血すると血が止まらなくなることもあります」(長澤さん)
女性に多い骨粗しょう症の治療に使われる薬も、組み合わせによっては体に悪影響を与えることがある。治療のために活性型ビタミンD3製剤を服用している間は乳製品に注意が必要だ。
「骨を強くしたいという思いから大量に牛乳を飲んだりチーズを食べたりする人がいますが、活性型ビタミンD3製剤は、カルシウムの吸収を促す薬です。乳製品を摂りすぎると血中のカルシウム濃度が上がって、高カルシウム血症になるリスクがある。カルシウムのサプリメントをのむのもやめてください」(三上さん)
骨粗しょう症の治療薬を飲むなら、カルシウムの摂取過剰に気をつけよう(写真/Getty Images)
高カルシウム血症の初期症状は食欲不振や疲労感なので、気づきにくいことが多い。だが進行すると喉の渇きや多尿などの症状が表れ、最悪の場合、死に至ることもある。
カフェインの覚醒作用に注意
カフェインと組み合わせると悪影響が生じるのは処方薬も同じだ。特に「精神に影響する薬をのむときは控えてほしい」と鎌田さんは指摘する。