国内

東京五輪「1年延期」を決めた頃と今を比較したらケタ違いだった

今年、東京五輪を開催できると考える人たちの根拠とは(写真/AFP=時事)

本当に開催できるのか(写真/AFP=時事)

 東京五輪開会式は7月23日が予定されている。東京・大阪・兵庫・京都の緊急事態宣言は5月31日まで延長され、5月12日から愛知と福岡も対象地域に加えられることとなった。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * *  *
「IOC(国際オリンピック委員会)は7月から開催することを既に決定しており、各国のオリンピック委員会とも確認している」

 先月、3度目の緊急事態宣言が発令されてからも、菅義偉首相はこう言い続けて、東京オリンピック・パラリンピックを開催する意欲を見せています。さすがに最近は、「人類が新型コロナウィルスに打ち勝った証として」とは言わなくなりました。

 いっぽうで、大会組織委員会が会期中に看護師500人を派遣しなさいと求めていることに、全国各地の医師や看護師が「ふざけるな!」と怒りの声を上げています。5月6日には各国の選手団にファイザーからワクチンが優先的に提供されることが発表されましたが、それに対しても「なんじゃそりゃ」という批判が大量に寄せられました。

 都知事選に3度出馬した弁護士の宇都宮健児氏は、5月5日正午から「東京五輪の開催中止を求めます」と呼びかけたオンライン署名を開始。たちまち大きな反響を呼び、2日後の7日午前11時の時点で20万筆に迫る署名が集まっています。

「ワシントン・ポスト」などアメリカの有力紙も、次々と「五輪中止」を提言するなど、逆風は強まるばかり。開催まで3カ月を切りましたが、中止を決断するとしたら、いつどのタイミングで誰が言い出すのか。それでもやっぱり開催するとしたら、どんな手段や口実を駆使して、どういうことになるのでしょうか。

 他意はありませんが、東京オリ・パラの「1年延期」が決まった2020年3月と今の状況を比較してみましょう。当時の安倍総理大臣とIOCのバッハ会長が延期で合意したのは、3月24日。IOCの臨時理事会で延期が正式に決定したのが3月30日でした。

 まずは新型コロナウイルスの感染状況から。NHKのまとめによると、3月下旬の新規感染者数は1日あたり39~241人。3月末までの国内感染者数の累計は2234人。3月下旬の死者数は1日あたり1~7人。3月末までの累計は66人。ちなみに、最初に7都府県に初の緊急事態宣言が出された4月7日の国内感染者数は368人でした。

 今年4月の状況はどうか。4月下旬の新規感染者数は1日あたり3315人~5911人。4月末までの国内感染者数の累計は59万2999人。4月下旬の死者数は1日あたり39~78人。4月末までの累計は1万243人。まさにケタ違いです。5月に入ってからも減少する気配はなく、7日には3度目の緊急事態宣言の延長や拡大などが決定しました。

 去年と今年、どちらが深刻な感染状況かは、比較するまでもありません。「ワクチンが開発された」という明るい兆しもありますが、5月7日現在、国内でワクチンを少なくとも1回接種した人の割合は2.2%(Our World in Dataより)。主要国の中でダントツの低さです。あと数ヶ月で、はたしてどれだけの人が接種できることやら。

関連キーワード

関連記事

トピックス

第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
日米通算200勝を前に渋みが続く田中
15歳の田中将大を“投手に抜擢”した恩師が語る「指先の感覚が良かった」の原点 大願の200勝に向けて「スタイルチェンジが必要」のエールを贈る
週刊ポスト
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
裏アカ騒動、その代償は大きかった
《まじで早く辞めてくんねえかな》モー娘。北川莉央“裏アカ流出騒動” 同じ騒ぎ起こした先輩アイドルと同じ「ソロの道」歩むか
NEWSポストセブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手
【「地面師たち」からの獄中手記をスクープ入手】積水ハウス55億円詐欺事件・受刑者との往復書簡 “主犯格”は「騙された」と主張、食い違う当事者たちの言い分
週刊ポスト
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
【ギリギリセーフの可能性も】不倫報道・永野芽郁と田中圭のCMクライアント企業は横並びで「様子見」…NTTコミュニケーションズほか寄せられた「見解」
NEWSポストセブン
ミニから美脚が飛び出す深田恭子
《半同棲ライフの実態》深田恭子の新恋人“茶髪にピアスのテレビマン”が匂わせから一転、SNSを削除した理由「彼なりに覚悟を示した」
NEWSポストセブン
保育士の行仕由佳さん(35)とプロボクサーだった佐藤蓮真容疑者(21)の関係とはいったい──(本人SNSより)
《宮城・保育士死体遺棄》「亡くなった女性とは“親しい仲”だと聞いていました」行仕由佳さんとプロボクサー・佐藤蓮真容疑者(21)の“意外な関係性”
NEWSポストセブン
過去のセクハラが報じられた石橋貴明
とんねるず・石橋貴明 恒例の人気特番が消滅危機のなか「がん闘病」を支える女性
週刊ポスト