前出・富澤氏が陽水に直接、拓郎について尋ねたところ、こう答えたという。
「拓郎は、ああだ、こうだ、そうじゃない、こうなんだと前面へ言い放っている感じがありますよね。それに対して、僕のは自分にこうウジウジと語りかけている。言ってみれば、拓郎はサドで、僕はマゾか」
当時の若者は拓郎派と陽水派に二分されたが、本人同士は友好関係にあった。拓郎は陽水に声をかけてレコード会社「フォーライフ」を立ち上げ、「よく一緒に将棋を指していた」(前出・川瀬氏)という。陽水は近年のコンサートで、「一部で拓郎と陽水は仲が悪いんじゃないかという声もあるんですが、そうかもしれない」と笑わせながら、拓郎の名曲『リンゴ』のカバーを披露した。
※週刊ポスト2021年5月21日号