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元DeNA・松本啓二朗が語る「ドラ1の重圧」と後輩・斎藤佑樹への思い

将来は指導者を目指しているという松本啓二朗

将来は指導者を目指しているという松本啓二朗

 DeNAに2008年ドラフト1位で入団した松本啓二朗(34)は2017年に退団後、社会人野球・新日鉄君津かずさマジックでプレー。昨年限りで現役引退した。現在は指導者として必要とされる環境を求め、就職活動を行なっているという。

「父親が高校野球の監督をやってきた姿を見てきたので、プロになる前から指導者になりたいという夢があった。これからは高校、大学の指導者として野球に恩返しがしたいです」

 松本啓二朗の名前を聞けば、野球ファンの中には「野球エリート」と連想する人も多いかもしれない。千葉経大付属高で3年夏に「4番・投手」で甲子園に出場。3回戦でダルビッシュ有(現・パドレス)擁する東北高に延長10回の末、投手戦を制して3-1で勝った試合は特に印象深い。早大で外野手に転向すると、1年秋に外野でレギュラーをつかみ、2年春に六大学リーグ2位の打率.438をマーク。4年秋に打率.333で首位打者に輝く。ベストナインにも5度選出された。リーグ通算打率.315、2本塁打、44打点。大学ナンバーワン野手と高く評価され、2008年のドラフト1位で横浜(現DeNA)、阪神の2球団が競合する。当たりくじを引いた横浜に入団した。

 周囲がうらやむ華やかな経歴だが、意外な思いを口にする。

「アマチュア時代に自分のプレーに自信を持ったことは一度もないです」

 その理由をこう続けた。

「打者でプロにいくイメージがわかなかったんです。左利きの野手は一塁、外野と守るポジションが限られ、プロは左の巧打者がゴロゴロいる。高校時代から僕のレベルでは野手では厳しいと思っていました。プロを目指すなら左投手のほうが需要があると思ったんです。だから、高3の時に練習参加で早大に行った時、『外野でどうだ?』と言われた時は『終わった』と思いました。その後も投手の夢を諦めきれずに、3年に大学日本代表で選ばれた時も『投げたい』って言っていました」

 投手に未練があった松本だったが、プロでエースになれる未来予想図を描いたことはなかった。自信が打ち砕かれたのは高3夏の甲子園。皮肉にも評価を上げたダルビッシュとの投手戦を制した東北高戦だった。

「試合前日にダルビッシュ対策で最新鋭のバッティングマシンを借りて練習したのですが、直球が速くて当たらないし、130キロのスライダーも自打球になるので『練習にならない』と途中でやめたんです。でも、実際に対戦したダルビッシュはもっと凄かった。上背があるし、球は速いし、変化球も異常に曲がる。シンカーが左投手のスライダーみたいに曲がって。見たことない軌道でした。こんな凄い球を投げる投手がプロで活躍するんだなって。僕は直球が130キロ前半で球種も少ない。プロに行きたいなんて恥ずかしくて言えなくなりました」

 松本も左の好投手で知られていた。2回戦・富山商高戦では完封勝利を飾っている。だが、ダルビッシュは住む世界が違った。千葉経大付属高は東北高戦で10安打、松本も2安打放っている。周囲はダルビッシュに対応したという見方だったが、当人は違った。「僕の安打はたまたま。他の選手にもどうやって打ったか聞いたら、『とにかく当てるしかない』と口をそろえていましたから」

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