芸能

大器晩成の赤木春恵さん 毎度代役をチャンスに変えてきた女優人生

10年以上続く人気シリーズとなった『渡鬼』で、赤城さんは人気女優の地位を不動のものにした

10年以上続く人気シリーズとなった『渡鬼』で、赤城さんは人気女優の地位を不動のものにした

 かつては「若いうちが花」と、人生の前半戦を重要視してきた時代もあった。しかし「生涯現役」時代のいまでは、いくつになってもまんべんなくスポットライトを浴びる可能性がある。人生が最高に輝くのは、後半戦からなのかもしれない──。

 華やかな芸能界で見事に遅咲きの花を咲かせたのは、女優の森光子さん(享年92、2012年逝去)。

 戦前に子役でデビューし、戦後は進駐軍のキャンプを回るジャズ歌手を経て、関西で活躍する喜劇女優になった。

 その後、拠点を東京に移し、1961年10月に日比谷の芸術座で初演された舞台『放浪記』で、自身初の主役に大抜擢された。デビューから26年、41才にして掴んだ夢だった。

 それからは出世街道を邁進。『放浪記』は生涯通算2017回を演じ、2009年に国民栄誉賞を受賞した。

『遅咲き偉人伝 人生後半に輝いた日本人』(PHP研究所)の著者であり、多摩大学名誉教授の久恒啓一さんが指摘する。

「森さんのライフワークとなった『放浪記』には、でんぐり返りをする見せ場もある。高齢になっても継続するには足腰を鍛える必要があると、毎日150回のヒンズースクワットを欠かさなかったといいます」(久恒さん)

 そんな森さんの盟友であり、芸能界きっての「大器晩成」の大活躍を見せた女優といえば赤木春恵さん(享年94、2018年逝去)だろう。

 赤木さんの長女であり、所属事務所「オフィスのいり」のデスクを務める野杁泉さんはこう語る。

「確かに、『遅咲きの女優』というのは母の代名詞のようにいわれていましたし、本人にも充分自覚があったんです」

 赤木さんは女学校を卒業した1940年に、16才で松竹撮影所に入所。同年、映画『二本松少年隊』の端役で銀幕デビューしたが、その後は鳴かず飛ばずの状態が続いた。

「優秀な成績で松竹のニューフェースになったものの、当時の映画界は美男美女が主役で演技力や個性はあまり必要とされませんでした。

 母はオーディションの点数が1位でも、その後に重役に呼ばれ『今回はごめんね』と金一封を渡され、絵に描いたような美女に主役を奪われる経験を繰り返したそうです。多くの人に演技力を認められながらも、不遇な時代が続きました」(野杁さん・以下同)

 若者の繊細な心をズタズタに引き裂くような出来事は、トラウマになってもおかしくない話だ。しかし、赤木さんは「ま、次があるわ」という切り替えの早さで、めげることなく女優業を続けた。

あわせて読みたい

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン