芸能

高田文夫氏が振り返る 『ひょうきん族』が『全員集合』を超えた日

高田文夫氏が、土曜8時のテレビ番組覇権争いを振り返る(イメージ)

高田文夫氏が、土曜8時のテレビ番組覇権争いを振り返る(イメージ)

 土曜8時を楽しみに待ち、ブラウン管に釘づけになった1時間。番組が終わると、もう週末が終わったような気がした。多くの国民が腹を抱えて笑った『オレたちひょうきん族』(フジテレビ)は、同時間帯に放送していた視聴率40~50%のお化け番組『8時だョ!全員集合』(TBS)と何かと比較され、ライバル関係という構図で語られた。「高田ギョロメ文夫」として『オレたちひょうきん族』の構成作家をつとめていた放送作家、タレント、演芸評論家の高田文夫氏が、土曜8時のテレビ番組覇権争いを振り返る。

 * * *
 TBSテレビとフジテレビの土曜8時のお笑い戦争。これをマスコミ的には面白おかしく「土8戦争」という。この熾烈な戦いを取り上げる時、往々にしてTBSの『8時だョ!全員集合』(昭和44年スタート)vsフジテレビ『オレたちひょうきん族』(昭和56年スタート)という構図で書くが、ことはそんなに単純ではない。この対決の10年も前から二局間での戦は始まっているのだ。

『全員集合』でドリフターズが話題になり始めた時、フジのお昼(長いこと『笑っていいとも』を放送していた枠)にマエタケ(前田武彦)と共に突然現われた二人組、若い人に熱狂的支持を受けたコンビこそ「コント55号」である。

 萩本欽一と坂上二郎。土曜8時に『コント55号の世界は笑う』としてすぐに話題。ドリフと55号のいい勝負は続いたが加トちゃん人気で『全員集合』が一歩リード。態勢を整えた萩本欽一はラジオのニッポン放送でやっていたハガキ一枚のショートコントスタイルをテレビ的にアレンジ。ハガキを持ってカメラと一緒に町の中へ飛び出し、素人の面白いリアクションをひろっていくドキュメントな笑いの手法へ移っていく。これが昭和50年の『欽ちゃんのドンとやってみよう!』である(愛称『欽ドン』)。

 ドリフの台本を練りに練ってギャグを作りあげていく職人のような「笑い」に対し、欽ちゃんは素人をいじり、つっこみ、芸能人でもそれまで笑いとは縁のなかった前川清のように、その人のおかしみをどんどんひき出して笑いにつなげていくスタイルがまたうけた。前川とは「コント54号」と名乗った。「バカうけ」「ややうけ」など投稿ハガキを審査するのも新しくて面白がられた。

 一方昭和51年には荒井注脱退からくすぶっていた新メンバー志村けんが「東村山音頭」で大ブレーク。「一丁目、一丁目!フォ~ッ」でフジテレビにとどめを差すかと思いきや……昭和55年に吹き荒れた「漫才ブーム」。この時関東勢で唯一、孤軍奮闘していたのがツービート(主にビートたけしである)。

 漫才コンビをバラシ、ひとりの面白さに大きなスポットライトを当てたのが誰あろう私であるアハハ。56年元日初のピン仕事『ビートたけしのオールナイトニッポン』スタート。私は構成兼いい間の笑い、バウバウ担当。二か月もしない内に日本中に面白すぎる戦慄が走った。

 フジテレビのディレクターで古くからの知り合いの三宅恵介。この男は『欽ドン』をやっていて欽ちゃんから「東京の笑い」の薫陶を受けていた。昭和56年2月私の所へとんで来て「今たけしさんとやってるラジオ、CMのパロディとかドラマのパロディ平気でやっているでしょ。あゝいうのテレビでやれないかなァ」。その夏に特番でスタートしたのが『オレたちひょうきん族』である。

関連記事

トピックス

10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「従業員の人が驚くといけないから…」田村瑠奈被告が母・浩子被告に告げた「殺害現場のホテルをキレイにした理由」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
年末恒例行事の餅つきに参加した特定抗争指定暴力団山口組の篠田建市(通称・司忍)組長(中央)ら。2024年12月28日、愛知県瀬戸市(時事通信フォト)
《司忍組長の誕生日会では「プラチナ」に注目集まる》暴力団にとっての「代紋」、つけないケース増える「最近では名刺にも…」
NEWSポストセブン
浩子被告の主張は
「すごい、画期的だ…」娘・田村瑠奈被告と被害男性の“初夜”の日、母・浩子被告が夫に送っていた「驚嘆LINE」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
怒り心頭のマツコ
《所属事務所社長の失踪で“消えた大金”》マツコ・デラックス“年収7億円”“20億円”説に「本当の金額はかけ離れている」と猛反論 
女性セブン
新証拠が明らかに(左は共同通信)
「深夜3時に猛ダッシュ」大木滉斗容疑者(28)の“不可解な奇行”を捉えた新証拠とエリート大学生時代の“意外なエピソード”《東大阪バラバラ遺棄》
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「1000人以上の男性と関係を持った」金髪美人インフルエンサー(25)が“乱倫パーティー動画”削除の大ピンチ《世界に波及する“奔放な女”の影響力》
NEWSポストセブン
ビアンカ・センソリ(カニエのインスタグラムより)
《過激ファッション》カニエ・ウェストの17歳年下妻、丸出しドレスで『グラミー賞』授賞式に予告なく登場「公然わいせつ」「レッドカーペットから追放すべき」と炎上
NEWSポストセブン
女性皇族の健全な未来は開かれれるのか(JMPA)
愛子さま、佳子さま“結婚後も皇族としての身分保持”案の高いハードル 配偶者や子供も“皇族並みの行動制限”、事実上“女性皇族に未婚を強制”という事態は不可避
女性セブン
第7回公判では田村瑠奈被告の意外なスキルが明かされた(右・HPより)
《モンスターに老人や美女も…》田村瑠奈被告、コンテストに出品していた複数の作品「色使いが独特」「おどろおどろしい」【ススキノ首切断事件裁判】
NEWSポストセブン
『なぎチャイルドホーム』の外観
《驚異の出生率2.95》岡山の小さな町で次々と子どもが産まれる秘密 経済支援だけではない「究極の少子化対策」とは
NEWSポストセブン
出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
【独自】《水原一平、約26億円の賠償金支払いが確定へ》「大谷翔平への支払いが終わるまで、我々はあらゆる手段をとる」連邦検事局の広報官が断言
NEWSポストセブン
浩子被告の主張は
《お嬢さんの作品をご覧ください》戦慄のビデオ撮影で交わされたメッセージ、田村浩子被告が恐れた娘・瑠奈被告の“LINEチェック”「送った内容が間違いないかと…」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン