“棚上げ”していいのは年齢だけ
今でこそ、ぼくは「運動しよう」「(筋肉の)貯筋しよう」と呼びかけているが、5年ほど前はちょっと違った。2016年にスキーで骨折し、自由に動けなくなったストレスで、おいしいものを食べ過ぎた。この当時の写真を見ると、お腹がはちきれそうだ。だが、見て見ぬふりをしていた。これは骨折の不可抗力、いつか元に戻るくらいに考えて、問題を“棚上げ”したのだ。
しかし、その後、佐賀で実践塾が作られ、塾生たちがどんどん増えていくなかで、これでは説得力がないことに気づいた。ようやく自分の体型と向き合うことができたのだ。だから、佐賀の塾生たちには、同志のような思い入れがある。コロナという逆境はまだまだ続きそうだが、“棚上げ”するのは年齢ぐらいにして、コツコツと健康づくりに勤しんでいきたいと思う。
【プロフィール】
鎌田實(かまた・みのる)/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。著書に、『人間の値打ち』『忖度バカ』など多数。
※週刊ポスト2021年6月4日号