ライフ

医療用大麻解禁へ 「モルヒネ以上の鎮痛性があり安全」との臨床例も

医療用大麻をどう見る?(写真はイメージ/共同通信社)

医療用大麻をどう見る?(写真はイメージ/共同通信社)

〈大麻草を原料にした医薬品 国内での使用解禁へ 厚生労働省〉──5月14日朝、NHKのニュースで、日本でも大麻由来の医薬品の使用が“解禁”されることが伝えられた。

 同日の厚労省「大麻等の薬物対策のあり方検討会」では、従来の規制を見直すとりまとめ案が提示された。

「現在、米国など諸外国では末期がん患者の緩和ケアや難治性のてんかん治療のため、大麻草を原料にした医薬品の使用を認めています。日本では大麻取締法で禁止されていましたが、今回の見直し案により、医療現場での使用が認められる方向です」(全国紙社会部記者)

 これまで日本の緩和ケアの現場では主にモルヒネが使用されてきた。今回、解禁へと舵を切った背景には世界的な潮流がある。『真面目にマリファナの話をしよう』(文藝春秋刊)の著者でジャーナリストの佐久間裕美子氏が指摘する。

「世界で緩和ケアの概念が生まれたのが1980年代中頃で、日本でモルヒネの使用が認められたのは1989年。大麻は“後発”で、成分であるデルタ・ナイン・テトラヒドロカンナビノール(THC)とカンナビジオール(CBD)に医療効果があることが認められたのは1990年代以降です。

 1996年に米カリフォルニア州で初めて医療用大麻が解禁され、それ以降現在までにがんの緩和ケアのほか、多発性硬化症やアルツハイマー病、糖尿病など様々な病気に対する効果が明らかになった。国立がんセンターが米国の臨床例を調べたところ、医療用大麻にはモルヒネ以上の鎮痛性があり、安全性も高いという結果が出た」

 昨年12月には、国連にも動きがあった。

 医療用大麻の研究や啓発活動を行なう「GREEN ZONE JAPAN」代表で内科医の正高佑志氏が語る。

「国連麻薬委員会は、大麻を国際条約が定める“最も危険な薬物分類”のリストから外し、医療的価値があることを認めました。この決定が大きなインパクトとなり、日本でも解禁の流れができました」

※週刊ポスト2021年6月11日号

米国など諸外国では末期がん患者の緩和ケアに大麻草を原料にした医薬品を使用するケースも(写真はイメージ/AFLO)

米国など諸外国では末期がん患者の緩和ケアに大麻草を原料にした医薬品を使用するケースも(写真はイメージ/AFLO)

関連記事

トピックス

大谷翔平選手と妻・真美子さん
《チョビ髭の大谷翔平がハワイに》真美子さんの誕生日に訪れた「リゾートエリア」…不動産ブローカーのインスタにアップされた「短パン・サンダル姿」
NEWSポストセブン
石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情
(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
熱を帯びる「愛子天皇待望論」、オンライン署名は24才のお誕生日を節目に急増 過去に「愛子天皇は否定していない」と発言している高市早苗首相はどう動くのか 
女性セブン
「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)
《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野
週刊ポスト
盟友・市川猿之助(左)へ三谷幸喜氏からのエールか(時事通信フォト)
三谷幸喜氏から盟友・市川猿之助へのエールか 新作「三谷かぶき」の最後に猿之助が好きな曲『POP STAR』で出演者が踊った意味を深読みする
週刊ポスト
ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
今年6月に行われたソウル中心部でのデモの様子(共同通信社)
《韓国・過激なプラカードで反中》「習近平アウト」「中国共産党を拒否せよ!」20〜30代の「愛国青年」が集結する“China Out!デモ”の実態
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
NEWSポストセブン