「『リウマチは痛みがあって当然で、根治は難しい。関節が変形して何度も手術をするのが当たり前』と言われ続けていた30代の女性患者がいました。
ところが、東京に転居したのを機に私の病院に転院し、最新の標準治療を開始したところ、すぐに痛みが軽減。順調に治癒に向かいました。大阪の医師は専門医でないうえ、情報収集を怠り、標準以下の治療をしていたのです」
金子さんによれば、医学が進歩し、治療法や薬が細分化されたいま、複数の診療科を専門的に極めるのは非常に難しいのが現状だという。
つまり、いまでもひとりの医師が多くの診療科を掲げているなら、続けて通うかは一考の余地あり、ということだ。都内の内科医が匿名を条件にこっそり明かす。
「離島などの医療過疎地であれば別ですが、医療機関が林立する地域であれば非専門医に診てもらうメリットはまったくない。医師免許は診療科ごとに分かれているわけではないため、複数の診療科を掲げることはできますが、それは少しでも多くの患者を“釣る”ための手段に過ぎません」
とはいえ、いかに専門知識が豊富だとしても、冒頭の岩田さんが遭遇したような相談しにくい医師も困りものだ。
「医師という仕事は対患者はもちろん、看護師や技師など多くのスタッフとの連携が不可欠です。診療を受けて、もしその能力に欠けていると感じたら、別の医師に替えた方がいい。昨今、医師の対人能力は問題視されており、多くの医学部でコミュニケーションスキルを高めるカリキュラムが設けられているほどです」(前出・都内の内科医)
医師を替えたい理由は直球では伝えない
不幸にも“ヤブ医者”に当たってしまい、担当医や病院を替えたいと思ったとき、どう切り出せばいいのか。多くの総合病院で勤務経験のあるみつばち大阪クリニック院長の橋本惠さんがアドバイスする。
「『先生とは合わないから病院を替えたい』と患者に言われてしまえば、医師側も少なからずショックを受けます。初診時に前担当の医師からの紹介状がなければスムーズに受診できなかったり無駄な費用がかかったりする場合もあるため、不満があったとしても『時間帯が合わなくなってしまって』とか『引っ越す予定があって』といった角の立たない理由を出した方がいいでしょう。
また、何かの事情で、今後その病院に戻るかもしれません。できる限り、関係をこじらせない方がいいでしょう」
しかし、慢性病による長期入院など転院が難しいケースもある。
「どうしても合わなければ、病院によっては担当医が替えられることもある。医師には切り出しづらいでしょうから、看護師長などに『どうしても相性が合わなくて悩んでいる』と相談してみるのも1つの方法です」(山口さん)