芸能

高田文夫氏が振り返る 仰ぎ見たテレビ第一世代と我ら第二世代50周年

テレビ第一世代と第二世代を振り返る

テレビ第一世代と第二世代を振り返る

 放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、テレビ第一世代を見送りつつ、自分の含めたテレビ第二世代が50周年イヤーを迎える今とこれからについてつづる。

 * * *
 永いことこの仕事をやっていると、若き日に仰ぎつつ恐れて見ていた人達(テレビマン)がこの節バタバタと亡くなっていく。そんな年回りなのだ。テレビ第一世代の澤田隆治(88歳)。『てなもんや三度笠』、漫才ブームの『花王名人劇場』のP(プロデューサー)である。晩年、私の知り合いなどに「一度キチンと高田さんとは話をしなければいけない」と言っていたそうだが話もしないで終わった(その方が助かる)。

 若き日、日本テレビの制作部へ行くと、この人の姿があるだけで恐れおののき、小さくなりながら尊敬をしていた。大河ドラマを破った男・細野レジェンド邦彦(86歳)である。

 タダ者ではないその雰囲気、テレビとはやっぱりヤクザな商売だなと思った。ケンカに明け暮れた毎日だったときく。『コント55号の裏番組をブッ飛ばせ!』で野球拳をやり、女優、タレントを脱がしていった。『ウィークエンダー』で曲者・桂朝丸(ざこば)、泉ピン子をスターにおしあげた。テレビ番組でひんしゅくを買い占めた人である。

 訳知り顔の新聞などに叩かれると「娯楽は不良性、下品さ。ホームランを打ったこともない人から打ち方を教わる必要などない」。ごもっともである。新聞や雑誌、今ならネットでも、作れもしない奴がテレビ評など書いている。バッターボックスにすら立った事のない奴の意見など必要なし。

 テレビを最初に作った人達が去っていく。そりゃそうだ、それを見ていたテレビ第二世代の私達が、気がつきゃ業界渡世50年になるのだから。たしか『ドラえもん』も50年でしょ。森田芳光をリスペクトする人達が今「監督生活50年」という事で本を創っている。先日の『五木ひろし50thアニバーサリーITSUKIフェス』も当人の人徳だろう、和田アキ子、田原俊彦、ももいろクローバーZ、爆笑問題らが集まり、大盛りあがりの内に終わったときく。

 そして吉本新喜劇の看板、間寛平芸能生活50周年+1ツアー『いくつになってもあまえんぼう』が開催される。6月6日が東京でそのあと仙台やら福岡、富山などまわって10月の9日10日と大阪なんばグランド花月である。若手の勢いのある漫才をみせてからの御存じ新喜劇である。サプライズ大物ゲストも「アヘアヘ」と登場とか。

 団塊世代はほとんど業界50周年の年なのだ。誰も気がついてはくれないし、びた一文リスペクトもされないのか「50周年トークライブか本でも出しますか」と誰一人言ってこない。考えてみれば子供達からもひと言もなかった。トホホ、まだ働けって事か。60周年までもつかなぁ。

イラスト/佐野文二郎

※週刊ポスト2021年6月11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

人気シンガーソングライターの優里(優里の公式HPより)
《音にクレームが》歌手・優里に“ご近所トラブル”「リフォーム後に騒音が…」本人が直撃に語った真相「音を気にかけてはいるんですけど」
NEWSポストセブン
キャンパスライフをスタートされた悠仁さま
《5000字超えの意見書が…》悠仁さまが通う筑波大で警備強化、出入り口封鎖も 一般学生からは「厳しすぎて不便」との声
週刊ポスト
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《あなたとの旅はエキサイティングだった》戦力外の前田健太投手、元女性アナの年上妻と別居生活 すでに帰国の「惜別SNS英文」の意味深
NEWSポストセブン
1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
「身内にゆるいねアンタら、大変なことになるよ!」 斎藤元彦兵庫県知事と「merchu」折田楓社長の“関係”が県議会委員会で物議《県知事らによる“企業表彰”を受賞》
NEWSポストセブン
笑顔に隠されたムキムキ女将の知られざる過去とは…
《老舗かまぼこ屋のムキムキ女将》「銭湯ではタオルで身体を隠しちゃう」一心不乱に突き進む“筋肉道”の苦悩と葛藤、1度だけ号泣した過酷減量
NEWSポストセブン
横山剣(右)と岩崎宏美の「昭和歌謡イイネ!」対談
【横山剣「昭和歌謡イイネ!」対談】岩崎宏美が語る『スター誕生!』秘話 毎週500人が参加したオーディション、トレードマークの「おかっぱ」を生んだディレクターの“暴言”
週刊ポスト
“ボディビルダー”というもう一つの顔を持つ
《かまぼこ屋の若女将がエプロン脱いだらムキムキ》体重24キロ増減、“筋肉美”を求めて1年でボディビル大会入賞「きっかけは夫の一声でした」
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン