退院後、自宅で娘に読み聞かせをした(5月)
抱っこできなくてごめんね
〈4月20日(火)
娘に会えた。ウメ(猫)にも会えた。大きくなってた、2人とも。ママの顔見るなりご機嫌でバタバタするの、かわいすぎ! 頑張って良かった。娘のために生きるよ。ママの希望だよ。生きてて良かった。帰って来れてよかった。今回の入院しんどすぎた。毎日泣いてた。もう二度と入院しない。絶対治す。今までは(がんと)うまく付き合って行けたらって思ってたけど、もうそんな甘いこと言わない。治す。徹底的にやっつけて治す。もういい疲れた。絶対“普通”取り戻す。〉
4月9日、腫瘍が腸をつぶして便の通路をふさいでいることが発覚。和さんは人工肛門の造設手術を行うことになった。
「大腸がんとわかったときから、覚悟はしていました。でも実際に自分の人工肛門を見たらやっぱりショックで。食べた瞬間から腸が動き出して、さっき口に入れたものがそのまま出てくるんです。それが気持ち悪くて……。
でも、人工肛門を使いこなせないと退院できなかったので、『絶対帰る、私はきっと大丈夫』と思い直して頑張りました」
4月20日、無事に退院。ところが、2週間弱の入院生活で、和さんの体力は格段に落ちていた。
「絶食期間が長かったのと、気持ちが落ち込んでいた影響があったと思います。退院直後は100m先のスーパーに行くのさえ息切れがして脂汗が出て心臓バクバクで、ベビーカーも押せず、これはまずいと思いました。
娘はぐずってベビーカーに座っていられなくなると、抱っこをせがんでくるんです。そのたびに、『ママ抱っこしてあげられないのよ。ごめんね』と……」
少しずつ体力を戻すべく努力する和さん。歩ける距離は徐々に長くなり、娘の日用品を買いに行く元気がある日もあったが、体調は一進一退だった。
〈5月5日(水)
今日も調子悪い。ベッドから起き上がれない。クラクラするし吐き気するしお腹と背中痛い。朝からパパが家のこと全部やってくれて、娘のことも見ててくれて助かった。やっぱいいパパだ。これなら私が死んだ後も安心。昨日から、このまま死ぬのかなって思っちゃう。心も体もすごい弱ってる。頑張らないと。〉