家庭料理の味は“決まらなくて”もいい
「料理の味が決まりません」と料理教室でお悩みを耳にします。そもそも味は決まらなくていいんです。薄味にしておいて、食べる人がどうにかする“余白料理”で。それが家庭料理のよいところでもあって、薄かったらブラックペッパーをかけてもいし、七味とか、からしを足してもいいし。
和食だったら、おしょうゆ、みりん、酢。食べる人やその時の気分でカスタマイズしながら余白を埋めていけば素材の味がわかってくるし、ベースはワンパターンな味でも楽しくご飯を食べられます。外食や市販の物はパンチがあるから、家庭料理は複雑な味を目指さなくても、もうそれくらい簡単でいいんじゃないかなと思うんです。
食材もワンパターンでいいんです。私が買ってくるものはほとんど決まって同じ。薄切り豚肉とカニかま、あとは応用がきくキャベツ、買い置きしておくタマネギ、ジャガイモなど使いやすい野菜とか。あ、カニかまはものすごく便利ですよ。チャーハンに入れたら息子は「うわ! カニチャーハンだ!」って。かまぼこだってバレないですから(笑い)。
料理名から料理を作らない!
「今日はなんの料理を作ろうかなあ」で考えるとたいへんなんですよね。ハンバーグにしよう、となったら、「ひき肉買ってこなくちゃ」「ソースはどうしよう」とか。「材料買ってこなくちゃ」から始まってしまうので、作るのがおっくうにならないためには、料理名から入らない。家にあるものから料理を作る。冷蔵庫に入ってる物をいろいろ炒めたそれは、名前もない料理でしょう。でも、家庭料理はそれでいいんじゃないかと思うんです。
毎日同じ食材を使うと同じ料理になっちゃうのかというと、調味料やタレを変えれば印象が変わるので、そんなに考えなくても大丈夫。いつもはしょうゆ味だけどピリ辛にするとかオリーブオイルをかけるとか、チーズをかけてみたとか。ワンパターンの食材でも調味料や調理法で何パターンかアレンジできるというのを押さえておくと、できあがりは変わるから、家族は違った料理を食べている気分になると思います。