「おじさんたちに賢くなってもらいたいという気持ちはあります」と鈴木氏

「おじさんたちに賢くなってもらいたいという気持ちはあります」と鈴木氏

──セクハラ問題によって辞任した財務次官や、週刊誌に報道された編集者などもいれば、「うまいことやってるおじさん」もいるとも。何が分岐点になるのでしょうか。

鈴木:総じて人のコンプレックスに寄り添える人は許されちゃいますよね。逆に東大卒の財務官僚とか、サロンで大儲けしている編集者って、人の「ずるい」と思う気持ちを逆なでするじゃないですか。そういう意味で大衆の受け止め方の問題でもあるんです。社会は複雑なのだから、悪いことをした人は全員成敗されて、悪いことをしていない人が生き残っていると大真面目に考えている人がいたら、それは間違いだと知ってもらいたい。おじさんを通して、それを捌いたりそれに翻弄されたりする、大衆の側に疑問を呈したいという気持ちもありました。

──今後は、清廉潔白でないことをうまくやる技術を持つ者と、持たざる者の分断が激しくなるだろうと予見した上で、おじさんには、「もっと賢くなれ」と、鈴木さん流のエールを送られています。

鈴木:有名人でなくても、私の周りには、セクハラなりパワハラなりで“退場”になったおじさんが結構たくさんいます。被害者のいることなので擁護するつもりは全くないのですが、もったいないなと思うことはあります。たとえば、極端な例かもしれませんが、私はウディ・アレンの新作が見たいんですね。私は男性の書いた漫画や映画で育ってきて、それらを愛しているので、見られなくなったりしたら困るんだよなと。だからこの時代、おじさんたちに賢くなってもらいたいという気持ちはありますね。

元カノを「ブス」と書くメンタリティが理解不能

──「おじさん」を介して、女性の問題が表出することにも気づかされます。人気作家・燃え殻氏の小説(『ボクたちはみんな大人になれなかった』)を論じた章では、女性には、彼氏の元カノが美人だとへこむ人と、ブスだとへこむ人、二種類がいると書かれていて、ちょっと考えてしまいました。

鈴木 自分のプライドの置き所によって変わってくると思います。面白いのはこれ、男性だと、彼女の元カレがイケメンかブサイクかより、収入や学歴が気になる人が多いことですね。それから以前、テレビで芸人さんと一緒になったときに、先輩の元カノと後輩の元カノ、付き合うのがムリなのはどちらかって聞いたんです。芸人さんの世界って、上下関係の厳しい男社社会ですよね。で、先輩の元カノは畏れ多いという人もいれば、後輩の元カノはプライドが許さないという人もいて、意見が分かれました。その人が何を不快に思い、何を気持ちいいと思うのかがわかって、ちょっと面白いです。

 燃え殻さんの小説は忘れられない元カノについて綴っているんですが、その元カノのことを「ブス」と書いているメンタリティが、女の私には全く理解不能。でも、ベストセラーになっているように、えもい、って感じている男の人がいっぱいいるわけで、男性の自意識というものが勉強になりました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
日曜劇場『キャスター』で主演を務める俳優の阿部寛
阿部寛、小泉今日子、中井貴一、内野聖陽…今春ドラマで「アラ還の主演俳優がそろい踏み」のなぜ?
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン