「おじさんを捌いたりそれに翻弄されたりする、大衆の側に疑問を呈したいという気持ちもありました」

「おじさんを捌いたりそれに翻弄されたりする、大衆の側に疑問を呈したいという気持ちもありました」

人のコンプレックスに寄り添える人は許される

──著名な「おじさん」に対する違和感が綴られていきます。たとえばビートたけしの小説『アナログ』に見られるような、女性をある種「神聖視」する見方は、いまだに一部のおじさんには見られますね。

鈴木:女をきれいなものにしすぎてしまう男性って、女を貶めていないだけに、何を指摘してよいかわからず、居心地が悪い思いを昔からしていました。ビートたけし自体は私は映画のファンですから、表現者として大好きなんですが、この小説を読んで、女の愚かさを認めない男の心理が滲み出ている気がしました。女に悪意や戦略やだらしなさや愚かさがあることが認められなかったり、あることすら気づいていないと、女を過度に被害者化してしまったり、過度に信じてしまったりする。こっちは男の汚さを知っているんだから、男にも、女の汚さも知った上で愛してほしいって思いますが。

──昨今、世間をにぎわせる「不倫」もテーマの一つです。渡部建さん、東出昌大さんのように芸能活動自粛に追い込まれる人がいる一方で、“無傷”な人もいる。許されるおじさんと許されないおじさんについての考察も興味深いものでした。

鈴木:私自身は結婚していないので、不倫は正直どうでもいいのですが、見ているといろいろパターンがあって面白いですね。純愛型とか愛人型とかやり捨て方とか、男側から見ても、女側から見てもいろいろあると思います。不倫の傾向を見ると、そのおじさんがどんな思考回路なのか、何に誇りがあって何をコンプレックスに思うか、などを紐解いていく鍵になる気はします。

 不倫した人が無傷かどうかは、世間に認知されているキャラクーに加え、妻側の振る舞い方も影響すると思います。許されるといっても、世間にか、あるいは妻にか、というのもありますし、そこには、許してくれる女性を選んでいるかどうかも関わってきます。それから、相手を悪者にできるおじさんっているんです。そう考えると、船越英一郎さんの不問に付されっぷりは、尊敬半分、怖さ半分。世の男性は見習えばいいと思いますが、女性からしたら、奥さん(三田寛子)の株が上がった中村芝翫さんと船越さんを比べたら、奥さんの株を上げる男のほうがいいんじゃないかなって。私も、株上がりたいですから(笑)。

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン