──鈴木さんの「おじさん」論は、辛辣かつ批評的であると同時に、先ほど述べられたように茶化すところがある。批判の対象になることもあるということですが、そうした批判をどのように捉えていらっしゃいますか。

鈴木:私は自分の善悪の基準を何一つ信用していないんです。だから不倫でもセクハラでも、茶化してしまって、「悪いものは悪い」という言い方をあまりしないので、フェミニストの人たちに怒られることはよくあります。ただ、悪いものは悪い、という人はほかにいますから、それとは別の視座もあることを示したいだけですね。女もいろいろだし、男もいろいろ。いろんな男を、いろんな女が批評したり愛したりすればいいんじゃないかと思っています。

「いろんな男を、いろんな女が批評したり愛したりすればいいんじゃないかと思っています」

「いろんな男を、いろんな女が批評したり愛したりすればいいんじゃないかと思っています」

【プロフィール】
鈴木涼美(すずき・すずみ)
1983年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。大学在学中にキャバクラのホステス、AV女優などの経験を経た後、大学院の修士論文が『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』(青土社)として書籍化。その後、日本経済新聞記者などを経て文筆家に。著書に『身体を売ったらサヨウナラ』『おじさんメモリアル』『オンナの値段』『非・絶滅男女図鑑』他

撮影:内海裕之
取材:砂田明子

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