月9主演の波瑠
では、なぜそんなに早いのか? まず前提として挙げておかなければいけないのは、7月21日から8月8日にかけて放送される東京オリンピック中継の影響。各局は通常とは異なる番組編成を求められ、連ドラにとっては「自局で放送するときは休止」になり、「他局で放送されるときは強力なライバルになる」というリスクがあります。
そのため、できるだけ放送開始日を前倒しすることで、「東京オリンピックの開幕前に新たなドラマの内容を浸透させ、人気を確保しておきたい」というのが制作サイドの本音。もともと「スポーツのライブ中継はリアルタイムで見て、その間に放送されるドラマは録画で見る」という人が多いため、視聴率を下げないための対抗策が必要なのです。
ただ、ドラマのスタート日が早くなっている理由は、東京オリンピックだけではありません。
他局に先んじて放送しておきたい理由
2010年代は開始月の3~4週目に第1話が放送されるドラマが多いときもありましたが、実はこのところスタート日の早いドラマがジワジワと目立ちはじめていました。
その理由を各局のドラマ制作や宣伝関係者に聞いたとき、最も多かったのは、「早く出したほうが視聴者の印象がいい」「もし後出しになったら不利になるから」という声。たとえば、「今期は医療ドラマが6作もある」「今春はラブコメが5本そろった」など、近年は同じジャンルの作品が重なってしまうケースが頻繁に起きていました。
ターゲット層が似ていれば必然的にマーケティング戦略も似たものになりやすく、同じジャンルの作品でかぶりがちなのですが、「ならば他局に先んじて放送しておきたい」という発想があるようなのです。
これは脚本・演出にも当てはまり、たとえばラブコメなら、ストーリー、キャラクター、胸キュンシーンなどが似てしまうリスクがあり、それが起きたとき不利なのは後から放送する作品。ネット上の話題にもなりづらく、二番煎じのような印象を抱かせてしまうため、少しでもリスクを避けるために先に放送しておきたいのでしょう。