芸能

月9も日曜劇場も なぜ夏に“救命救急ドラマ“が多いのか?

21日スタートの新・月9ドラマで主演を務める(時事通信フォト)

月9ドラマで主演を務める波瑠(時事通信フォト)

 今夏クールの連続ドラマの放送が早くも始まっているが、そのラインナップの中に“救急救命”をテーマにした作品が2作もある。実は、“救急救命ドラマ”は夏に多いのだという。その理由について、コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 今夏は『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)と、『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系)という“救命救急”がテーマのドラマが2作あります。前者は「月9」、後者は「日曜劇場」という両局の看板ドラマ枠であり、ともにオリジナル作であることから、期待の大きさがわかるのではないでしょうか。

 実は今年だけでなく、過去にも夏期に“救命救急”がテーマのドラマが放送されてきました。『救命病棟24時』(フジテレビ系)は、5シリーズ中3作を夏期に放送(第2、第4、第5シリーズ)。『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)は、3シリーズ中2作を夏期に放送し、劇場版も7月に公開しました。また、標高2500m超の診療所が舞台の『サマーレスキュー~天空の診療所~』(TBS系)も、事実上の救命救急ドラマと言っていいでしょう。

 定番ジャンルである医療ドラマは年間を通して放送され続けている中、なぜ救命救急は夏期が多いのでしょうか。

ひたむきでさわやかなチーム戦

 まず夏期に医療ドラマが放送される理由として真っ先に挙げられるのが視聴率対策。もともと夏は学生にも社会人にも夏休みがあり、大型イベントが多数開催されるなど外出の機会が増えて視聴習慣が安定しづらく、「毎週見てもらいたい連ドラにとって最も難しい季節」と言われ続けてきました。

 さらに今年は東京オリンピックが開催されますが、例年夏期は、世界陸上や世界水泳などスポーツの大型イベントが多い時期。連ドラの放送が休止されることもあり、「連続性のある物語よりも一話完結型のほうが見てもらいやすい」という理由から医療ドラマが選ばれるケースが目立ちます。夏期の医療ドラマは、失敗のリスクを減らす堅実路線の表れと言っていいでしょう。

 では、『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)などのような定番の医療ドラマではなく、なぜ救命救急なのか。

その最たる理由は、救命救急が個人戦ではなくチーム戦だから。たとえば『ナイト・ドクター』が、波瑠さん、田中圭さん、岸優太さん、北村匠海さん、岡崎紗絵さんの5人による“青春群像医療ドラマ”と掲げているように、シリアスなだけでなく、ひたむきでさわやかな医師たちの姿を描こうとしている様子が伝わってきます。

 この世界観に似ているのは、夏の風物詩である高校野球の甲子園大会。ひたむきでさわやかな球児たちがチーム一丸となって戦う姿と、救命救急の現場で戦う若き医師たちの姿が重なって見えるのです。

 そのため『ナイト・ドクター』や、「類似点が多い」と言われる『コード・ブルー』には大門未知子のようなスーパー医師はいません。普通の医師たちが奮闘する姿に、プライベートの姿を含めた青春群像劇として描いているのです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

“令和の小泉劇場”が始まった
小泉進次郎農相、父・純一郎氏の郵政民営化を彷彿とさせる手腕 農水族や農協という抵抗勢力と対立しながら国民にアピール、石破内閣のコメ無策を批判していた野党を蚊帳の外に
週刊ポスト
緻密な計画で爆弾を郵送、
《結婚から5日後の惨劇》元校長が“結婚祝い”に爆弾を郵送し新郎が死亡 仰天の動機は「校長の座を奪われたことへの恨み」 インドで起きた凶悪事件で判決
NEWSポストセブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン
「最後のインタビュー」に応じた西内まりや(時事通信)
【独占インタビュー】西内まりや(31)が語った“電撃引退の理由”と“事務所退所の真相”「この仕事をしてきてよかったと、最後に思えました」
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬・宮城野親方
【元横綱・白鵬が退職後に目指す世界戦略】「ドラフト会議がない新弟子スカウト」で築いたパイプを活かす構想か 大の里、伯桜鵬、尊富士も出場経験ある「白鵬杯」の行方は
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
 6月3日に亡くなった「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
【追悼・長嶋茂雄さん】交際40日で婚約の“超スピード婚”も「ミスターらしい」 多くの国民が支持した「日本人が憧れる家族像」としての長嶋家 
女性セブン
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン