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中国で大学付属専門学校と職業専門学校の統合に学生反発 院長軟禁も

学生の行動がエスカレート

学生の行動がエスカレート

 中国江蘇省と浙江省ではこのほど、中国教育省(文部科学省に相当)の大学教育関係部門による大学の統合計画に反対する学生数千人が市中でデモを行い、大学幹部らをつるし上げて、大学内に軟禁するなど行動をエスカレートさせた。このため、大学側は警官隊の出動を要請し、キャンパス内で学生と警官隊が衝突し多数の負傷者を出す騒ぎとなった。

 中国では正規の4年制大学のほかに、大学付属の専門学校的な「学院」も大学に準じているが、中国教育省が大学機構改革として学院と職業専門学校を統合する改革方針を打ち出したことに学院生らが反発し、流血沙汰になった。米政府系報道機関「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。

 今回の抗議活動は、杭州電子科技大学信息工程学院、浙江財政大学東方学院、浙江工商大学杭州商学院、中国計量大学現代科技学院、南京師範大学中北学院など複数の大学で同時多発的に拡大した。

 浙江工業大学之江学院では学生らは横断幕を広げ、デモ行進を行い、保護者らも浙江省政府教育庁前で抗議活動を行った。浙江工商大学杭州商学院で学生らは「合併拒否」とシュプレヒコールをあげながら学内を練り歩いたあと、市街地に出て、浙江省政府前までデモ行進。代表が省政府の大学教育機関当局者に対して請願書を渡し、統合の方針を撤回しなければ、「授業のボイコットや学費の支払い拒否、デモの継続」などさらなる抗議活動の展開を宣言した。

 また、江蘇省の南京師範大学中北学院では学生ら数百人が学院長のオフィスに突入し、学院長を人質にして1日以上立てこもる騒動が発生。学生らは請願書を公表し、「4年制本科大学の卒業資格を永久に変更しないことを約束する」よう求めた。

 しかし、大学側との折衝がこじれたことから、警官隊が出動して催涙ガス弾を撃ち込むなどしたため、学生や保護者らと衝突し多数のけが人が出た。警官隊は学生らの包囲網を強行突破して、なんとか学院長を救出したという。

 この事件のあと、江蘇省政府は「学院と職業専門学校の統合措置を一時的に中止する」との声明を発表。浙江省政府も同様の措置を発表したことで、学生デモはいったん収まっている。

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