インテリアの古さも気にならない
このようなスポーツ性を持ちながら、車内は広く、サルーンとしての実用性を十分に持ち合わせていた。静粛性は大変に良好で、前述のようなエンジン音、排気音だけでなく、ロードノイズも効果的に遮断されていた。乗り心地はスポーツセダンとしてはとても良く、至極快適だった。
インテリアデザインは元ネタの「インフィニティQ50」がデビューした2013年当時では十分に先進的な部類に入っていたのだろうが、今となっては古色蒼然としている。
やや古さのあるインテリアデザインだが、あまりネガティブに感じられない
オーディオ、エアコン、コネクティビティ用とカーナビ用の2つのディスプレイを装備しているが、どちらも画面が小さい。メーターパネルも機械式で、プレミアムセグメントでは当たり前になりつつある液晶ディスプレイ方式ではない。ダッシュボードのデザインは局面を多用した立体感重視のものだが、技巧に走りすぎていて少々ビジーだ。
ボーズのサウンドシステムが標準装備されている
だが、この400Rに限って言えば、そのようなインテリアの古さは大して気にならなかった。クルマを走らせる行為そのものがメチャクチャ楽しかったからである。デザインは古いが視界は良好で、安全であることはもちろん絶景ルートをドライブすると景色が広々と見えて気分のいいことこのうえなかった。
センターコンソール。カーナビ操作ダイヤル、ドライブモードセレクタなどが置かれる。銀色の加飾は本物のアルミニウム
このように、旧態化はそれなりに進んでいるものの、走りの楽しさにかけてはパッションを持った作り込みがなされていたスカイライン400R。もうひとつの特徴は車両価格が562.5万円と、400馬力級の市販モデルの中では最安ということ。スカイラインの販売台数は月間300台前後と低空飛行を続けているが、400Rはハイブリッドや廉価版を押しのけ、グレード別では最人気なのだという。
プレミアムセグメントにアップグレードされ、庶民には縁遠くなったことから存在感をすっかり失って久しかったスカイラインだが、ここまでとんがったクルマにすればささやかながらも存在感を発揮できるのだ。日産にとっては小さな勝ち点と言えるだろう。