ビジネス

日産「スカイライン」ブランドは本当に消滅してしまうのか 独自の存在感は健在

スカイライン400Rのフロントビュー。プレミアムDセグメント(ミッドサイズ)に相当するツーリングセダン

スカイライン400Rのフロントビュー。プレミアムDセグメント(ミッドサイズ)に相当するツーリングセダン

 日産自動車のラインアップ中、最古参のブランド「スカイライン」が消滅!?──6月に日本経済新聞がスクープネタとして、日産が伝統のブランドであるスカイラインを含む後輪駆動系高級セダンから撤退予定と報じた。果たしてスカイラインのブランド価値は本当になくなったのか。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が、現行モデルに試乗して考察した。

 * * *
「スカイライン撤退か?」と報じた日経新聞の記事によれば、主要取引先(部品メーカーや販売店など)への通達で判明したとのこと。トヨタ自動車が高級セダン「クラウン」についてセダン形式をやめることが明らかになったのと似たパターンである。

 スカイラインといえば、かつては日本車の中でも有数のブランド力を有していたモデルだ。それが消えるという話が出れば、当然ファンは色めき立つ。そういう反応を察してか、日産は噂の火消しに回った。国内営業担当副社長、星野朝子氏はコンパクトカー「ノートオーラ」の発表会の席上「スカイラインを諦めない」と表明したという。

失われたスカイラインらしさ

 だが、現実を見るとスカイラインというブランドの活用は相当に難しいだろう。理由は、スカイラインというブランドの特殊性にある。まず、スカイラインというブランドの威光が及ぶのはほぼ日本限定。世界のカーマニアの一部にも知られてはいるが、それは海外でも伝説化している「GT-R」のサブネームがあっての話である。

 問題はガラパゴスブランドであることばかりではない。スカイラインは伝統的に小型でハイパワーなどのアンバランスさ、アウトロー的なキャラクターで人々を魅了してきたクルマだった。また、その人気はクルマ単体ではなく、モータースポーツや改造などの文化と複雑に絡み合う形で形成されてきた。

 バブル崩壊を境にスカイラインの販売が急速に減少し、単独モデルとして存続させることが難しくなったことを受け、日産は2001年、北米をターゲットとする高級車ブランド「インフィニティ」向けに開発していたミッドサイズセダンを日本市場にスカイラインとして投入した。

 だが、ユーザーの評判は散々で、「エンジンがV6になった」「ターボがない」「マニュアル変速機がない」「デザインがスカイラインらしくない」「高い」等々の不満が噴出した。

スカイライン400Rのフロントフェイス。2019年のマイナーチェンジで大きく変わり、スーパースポーツ「GT-R」に似たデザインになった

スカイライン400Rのフロントフェイス。2019年のマイナーチェンジで大きく変わり、スーパースポーツ「GT-R」に似たデザインになった

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン