ブランド活用で考えられる「2つの道」

 日産はスカイラインという資産をこの先どのように活用していくのかという命題に戻ろう。

 400Rであらためて感じられたのは、昔のスカイラインとはフィールがまったく異なるとはいえ、405馬力のパワーを後輪だけで受け止めながら安全に、そして楽しくドライブできるスポーツセダンという一点において、辛うじてブランドを継承できるポジションに踏みとどまっているということ。

 低重心ボディのドライビングコンシャスなクルマというキャラクターを失ったら、恐らくスカイラインというブランド資産を自分の手で台無しにしてしまうことになろう。

一見ハイテク感は希薄だが、405馬力のパワーを存分に味わえる(スカイライン400R)

一見ハイテク感は希薄だが、405馬力のパワーを存分に味わえる(スカイライン400R)

 実際にどういうブランド活用の仕方があるのか。まず考えられるのはFWD(前輪駆動)ないしはそれをベースにしたAWD(4輪駆動)というパッケージで高級スポーツセダンを作るという手だが、これはスカイラインブランドにとっては間違いなく自殺行為で、それをやるくらいならブランドをお蔵入りさせたほうがマシだ。日産ももちろんそう考えていることだろう。

 第2の道は、今日流行しているクロスオーバーSUVモデルにスカイラインの名を与えるという手法。だが、日産は一度この手を使って失敗している。

 2009年に発売した後輪駆動ベースのSUV「スカイラインクロスオーバー」を発売したものの、文字通り壊滅的な結果に終わった。

 もちろん当時は今日ほどSUVがメジャー化していなかったという事情もあるが、当時、ある日産関係者は「スカイラインという名前を付けたがゆえにかえってユーザーからそっぽを向かれてしまった」と、そもそもブランド戦略の時点で失敗だったと語っていた。

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