高校野球の監督になってしまう

 会社の部下は部下といってもあくまで別人格。100%思うように動かすことはできない。だが、母親が強くなっているといっても家の中では父親はまだ“家長”。自分の思うように動かせる世界である。

 受験にあたり、ひたすら練習し、努力するのは子ども。子どもが父親を評価する場面はないが、子どもの成績は月例テスト、模擬試験のたびに親の目にさらされ、チェックされるというまったく不公平な状態といえる。

「2年以上塾に通っていて、こんな問題もできないのか。今まで何していたんだ!」
「こんな点では入れる学校なんかないぞ!」
「勉強しないんだったら受験なんか止めてしまえ!」

 父親に罵倒されても、子どもは成績が思わしくないという引け目があるから反発できない。

 そして父親が学習計画や段取り、日々の過ごし方まで口を出すようになる。自分が指示し、子どもはその通り動く。それで成果が出ると、醍醐味を感じてますますハマる。高校野球の監督は一度やると辞められないというが、まさにその状態になるのが中学受験に関わる父親の特徴だ。

父親に学習の段取りから日々の過ごし方まで口出しされて息抜きできない子どもたち

父親に学習の段取りから日々の過ごし方まで口出しされて息抜きできない子どもたち

職場での情報交換に一喜一憂する父親たち

 以前は子どもの受験は職場では隠していた。まったく休まない、遅刻もしないのだから周囲にも気が付かれない。だが、今は職場でふつうに情報交換する。

 地方出身で首都圏の中学受験事情に疎い父親が中学受験を経験している父親に聞くのはもちろん、息子は経験していても娘の経験がない父親が女子の受験について、進学校に入れている父親は付属校に入れている父親に……必要に駆られてというより、話題にすること自体を楽しんでいたりする。

 教材の進み具合、出来具合についてまでやり取りしているという話を聞いたときは、「それでどうするの?」と思ってしまった。子ども同士が父親の代理戦争をしているような状況まで見られたからだ。

 筆者が企業にいた時の話だが、教育関係の仕事をしていたので社内の誰それの子が「〇〇中に受かった」、「××学園に入学した」という話はよく耳にしていた。当時は概して仕事熱心でなく早くに帰宅していた人の子のほうが難しい学校に合格していた。

 今でも強烈に覚えているケースがある。

「△△さんのところ、上が桜蔭で、下が今年開成に合格だなんてすごいですね。奥さん、よほど優秀なんですね」と陰で噂されていたことだ。

 塾のママ友の間では子どもの受験結果が判明してから口を利かなくなったという話をよく耳にするが、進学先が別になれば口を利かなくても済む。だが、会社ではそうはいかないだろう。社内ではあまり情報交換しないほうがいいのではないかと思ってしまう。中高時代の友人、大学時代の友人のほうが無難ではないだろうか。

あわせて読みたい

関連記事

トピックス

10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
ヒグマが自動車事故と同等の力で夫の皮膚や体内組織を損傷…60代夫婦が「熊の通り道」で直面した“衝撃の恐怖体験”《2000年代に発生したクマ被害》
NEWSポストセブン
対談を行った歌人の俵万智さんと動物言語学者の鈴木俊貴さん
歌人・俵万智さんと「鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴さんが送る令和の子どもたちへメッセージ「体験を言葉で振り返る時間こそが人間のいとなみ」【特別対談】
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン