国内

五輪の仕事で応援上京 闇営業する居酒屋が「東京名物」になっている実態も

全国から東京五輪のために警察官が応援上京している(Lehtikuva/時事通信フォト)

全国から東京五輪のために警察官が応援上京している(Lehtikuva/時事通信フォト)

 東京五輪のために全国から警察官が応援にやってきている。新型コロナウイルス感染症のために世界からの観光客は来なくなったけれど、都内を地方のナンバープレートをつけた警察車両が行き来する様子に、いつもと違う祝祭の雰囲気を感じ取ることができる。だが実は、地方から都内への応援に駆け付けているのは警察や役所関係者だけではない。ライターの森鷹久氏が、様々な仕事のために応援上京してきている人たちによる、密かな息抜きの様子をレポートする。

 * * *
「妻と娘と別れる時、正直少し感じましたよね。無事戻って来られるのかと」

 都内の五輪関連施設内で働く東北地方在住の会社員・真田和明さん(仮名・40代)が苦笑いを浮かべる。真田さんの職場は、大手建設会社の支社であり、五輪に合わせて、全国から都内の本社に「応援」に来ているのだという。

「東北は感染者が少ないということで、感染者が増加している都内に行くのはやはり気が引けました。でも、応援に行くのは平時なら名誉なこと。私は二つ返事で応援を引き受けましたが、冷静に考えて、東京に数週間滞在して仕事をするのかと思うと、やはり怖いんですよ」(真田さん)

 別の支店従業員の中には、応援を命じられても「コロナ」を理由に断固拒否する者もいたという。所属長から「強制でない」と説明はあるし、査定には響かないとは言われるものの、応援に行った者、行かなかった者、という事実は残るため、多くの地方社員は社命に応じて、感染拡大がハイペースで進む東京行きを甘んじて受け入れるのだという。

「五輪関連の業務」で、都内に滞在している関係者がどれくらいいるのかは不明だが、九州地方在住で食品系メーカー勤務の赤木晃さん(仮名・30代)は、7月上旬に本社業務の応援で上京した際、都内の繁華街が驚くほど賑わっていたと振り返る。

「うちなんか田舎だってこともありますが、コンビニ以外やってませんでしたからね。街を歩けば若者たちがマスクなしで酒を飲み歩いているし、歓迎会だって本社の上司から飲みに連れて行ってもらいましたが、肩を寄せ合いながらかなり密でした」(赤木さん)

 赤木さんが上司に連れて行ってもらったという店は、都内某所の繁華街にある人気居酒屋で、緊急自体宣言下でも自治体からの要請を一切無視し通常営業を続けていることで有名だ。ちょうど今、そうした「闇営業」の店はまるで東京名物のように、こうした応援組に重宝されているようなのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン