ファンたちが“予知”だと異口同音に語るのは、とある作品のことだ。今年4月1日~6月30日に東京・大手町の読売新聞ビル内で行われたキルトの展示会に、噂の作品はひっそりと出展されていた。
「展示会は、五輪で来日する海外選手に贈る『おもてなしキルト』プロジェクトに応募された作品を飾ったもの。全国から寄せられた約1700点の中に『三浦百恵【キルト作家】』と作者名が表示された作品がありました。あまりにも普通に飾られていたので、百恵さんの作品だと気づかずに通り過ぎる人も多くいました」(キルト展を見学した人)
彼女のパッチワークの実力は、キルト愛好家の中でもよく知られている。
「いまから34年前、まだ2人の息子さんたちが小さい頃から、『家の中で楽しめる趣味を』とキルトを始めたそうです。一針一針縫い上げるキルトは、想像以上に時間と手間がかかる。裁縫が得意でも根気が続かなくてやめてしまう人も多いんです。でも、百恵さんは家事と育児の合間を縫って、すでに100点以上を制作。2019年には三浦百惠名義で『時間の花束』というキルト作品集も出版されています」(手芸雑誌ライター)
息子たちの部活動をモチーフに
今回の展示会は、五輪選手への「おもてなしキルト」とあって、会場には富士山や東京タワー、だるま、折り鶴、着物姿の舞妓など、“これぞ日本”という作品が数多く並んでいた。その中で、異彩を放っていたのが、百恵さんの作品だ。
鮮やかなブルー地をバックに白い布で生き生きと表現されているのは、人の頭部と、いままさにボールを投げようとする腕。その下にはクリーム色の糸で「WATER POLO」と刺繍が施されている。百恵さんが出品したのは、海外では「ウオーターポロ」と呼ばれる水球のピクトグラムをモチーフにした作品だった。
「百恵さんにとって、五輪は特別なイベントなんです。前回の東京五輪のときは、彼女はまだ5才。女手一つで育ててくれた母の正子さんと一緒に、テレビで観戦した思い出があると懐かしそうに話していました」(百恵さんの知人)