何か問題が起きたとき、解決のために問題に向き合うことよりも、誰かのせい、何かのせいだと単一の原因を決めてしまうのは、責任を取りたくない人たちがよくやる行動だ。新型コロナウイルス感染症をめぐる日本のリーダーたちの発言には、そういった傾向がありはしないか。俳人で著作家の日野百草氏が、この感染拡大をさせている原因だと名指しされる30代以下、若者たちの不満と現状を聞いた。
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「おっしゃる通り、ついに私たちのせいになりましたね」
緊急事態宣言で休会中の区民講座、筆者の教える30代の女性がマスク越しに怒っている。彼女はワクチンの接種をまだ受けていない。住まいは品川区、もちろん受けたいのに受けられないのだ。
「打ちたくても打てないのに打てって、わけがわかりません」
憤懣やるかたない様子でタピオカ抹茶ミルクを極太ストローの先でかき回す彼女、ちゃんと飲むたびにマスクを外してはつける彼女は真面目だ。他の客など大半は席に座った途端にマスクは外している。だがこの暑さ、大井町駅周辺も30度はゆうに超えている。そんな炎天下から逃れてファミレス入りしたら外したくなるのも仕方のない話、しかし彼女はしっかりマスクをして話す。
「接種券が届いたのって7月ですよ? それで打ってない、打てってあの女、ひどくないですか?」
あの女とは小池百合子東京都知事のことだろう。「ワクチンも、ぜひ若い方も打っていただきたい」「若い方々の行動パターンが、あの、鍵を握っていますので」(筆者の聞き取りママ)と7月28日(!)に述べた。
「そんなのどうすればいいんですか? 予約再開(筆者注:品川区)は7月30日ですよ! いくらなんでもひどい」
気持ちはわかる。公平を期すために書いておくが、小池都知事より先に若者がワクチンを打てないのに若者が打たない、打てと芸能人を使ったパフォーマンスを続けたのは河野太郎ワクチン担当大臣である。まあ、政府の方針自体がそうなのだろうし、「とりあえず若者のせいにしておくか」は共通なのだろう。若者の大半が打てないのは事実なのに。