近年は他にも歌手の氷川きよしやモデルの井手上漠など、ジェンダーレスな魅力を放つ芸能人が数多く活躍している。こうした時代背景について、牛窪氏は第3次韓流ブームの影響を指摘する。
「第3次ブームは、韓国コスメやフードがブームとなった5、6年前から。上の世代の女性は、今も多くがトム・クルーズのようなマッチョな男性が好きですが、若い世代になるにつれ、男性でもプチ整形やメイクを公言し、細身で色白で、鍛えてもせいぜい細マッチョ止まりな男性が人気になっていったんです。
特に韓流ブームの影響は大きかったと思います。2000年代の“ヨン様”や“ビョン様(イ・ビョンホン)”ではなく、第2次韓流ブームの際のK-POPや韓流アイドルの流行、そして第3次で大ブレイクしたBTS(防弾少年団)など。とにかく肌が綺麗で、衣装だけでなく髪色まで自在に変化させるイメージです。
今、結婚したい相手の条件として女性が挙げるのが、1位は“価値観が合う”なんですけど、2位は“清潔感”なんです。逆に言うと、無精ヒゲが生えていたり毛穴が目立ったりするだけで、圧倒的に不利なんですね。今は“ワイルドだろ?”というセリフがギャグになるぐらいですから、時代の流れとしては“男らしさ”が避けられる傾向が強い。そうした時代背景も板垣さんの人気を後押ししていると思います」
加えてSNSがインフラ化した状況も関係しているようだ。牛窪氏が続ける。
「板垣さんはInstagramをやっていて、そこでもファッションやメイク、ネイルに注目が集まっていますよね。お花や緑と共に撮った自然体の写真もアップされていて、女性からするとそうしたライフスタイル全般が憧れの対象になるでしょうし、自分でも真似したいと参考になるところもあると思います。
昔のように雑誌やテレビでしか俳優さんの素顔が見られない時代ではないので、板垣さんのようにSNSを活用してお洒落な生き方を見せられる人こそが、若い世代から支持を得られるのではないでしょうか」
ジェンダーレスな魅力を放つ芸能人の活躍の場は、これからますます広がりそうだ。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)