高齢者は「慎重な投与」が必要な心の不安に対する薬リスト

高齢者は「慎重な投与」が必要な心の不安に対する薬リスト

 またうつ病患者は、「同じ系統」の薬が複数処方されるケースもある。前出・片田医師が40代後半の男性患者のケースを説明する。

「SSRIという抗うつ薬を2種類、朝と夜に1錠ずつ、計4錠も飲んでいた。同系統の薬を多く飲めば副作用のリスクが高まるうえ、どれが効いているかわからなくなります。実際に男性は目眩や頭痛を訴えていました」

 それでも「薬ゼロは怖い」と言う男性の希望を踏まえ、SSRI1錠のみに減らしたという。

認知機能低下の恐れも

 患者によって“効き方”にも違いがある。たかせクリニック理事長の高瀬義昌医師が語る。

「80代の統合失調症患者は、抗精神病薬や抗うつ薬、睡眠薬など6種が処方されていた。処方通りに飲むと効きすぎて、よだれが出ていた。10か月ほどかけて1種類にしたら病状は落ち着きました」

 認知症患者などの場合、症状の原因がわからず飲み続けることもある。神奈川歯科大学附属病院認知症・高齢者総合内科の眞鍋雄太医師が語る。

「80代の認知症患者(男性)の治療の際、男性は妄想や暴言、暴力などの症状がありました。認知症の薬に加え、抗精神病薬などが処方されていましたが問題行動は改善せず、専門医である当科の受診に至りました。ところが細かく検査してみると、慢性便秘に伴う身体の不調が暴言や暴力の原因ではないかという結論になり、治療の方針を変えたところ、抗精神病薬は全部やめられました」

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