芸能

夏木マリ、「強き女」の変遷 悪霊役から朝ドラヒロインまで

夏木マリ(68才)

「強き女」を演じることが多い夏木マリ

 清原果耶主演のNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』で、百音を厳しくも優しく支えるのが資産家で“姫”と慕われる新田サヤカ。演じるのは夏木マリ(69歳)だ。ひときわ存在感を放つ夏木だが、これまでもサヤカのように芯の強い女性を演じてきた。その変遷をコラムニストのペリー荻野さんが振り返る。
 
 * * *
 NHKの朝ドラ『おかえりモネ』。気象予報士デビューしたヒロイン・モネこと永瀬百音(清原果耶)は、たくさんの人に支えられているが、中で最強とも思えるのが、新田サヤカ(夏木マリ)である。モネが最初に就職した米麻町森林組合のボス的存在のサヤカは資産家で、山に詳しく、モネにさまざまなことを教える。自然を愛し、感謝を忘れない彼女は、山の神様とツーカーみたいにも見える。

 夏木マリは、さまざまな形で「強き女」を表現してきた。私が最初に衝撃を受けたのは、1974年のドラマ『高校教師』だ。あ、真田広之や藤木直人のドラマじゃないです。このときの先生は、加山雄三。放送は東京12チャンネル(現在のテレビ東京)である。眉毛を細くくっきりメイクした紀子(山内えみこ)はじめ、不良女子高生ばかり出てきたが、みんな現実に怒り、人情味もあった。先輩格のスケ番役で桃井かおりも出演。個人的には学園ドラマの傑作だと思っている。

 このドラマの主題歌が夏木マリの『裸の青春』。私に指図はいらない、たった一度の青春を悔いのないようにと言われるが、何もせず終わるより、過ちを悔やむ人生を選ぶといった歌詞のメッセージは、今聴いても響く。

 その夏木マリは、演劇活動も開始。強烈だったのは、先日亡くなった千葉真一出演の映画『里見八犬伝』だった。妖しい妖怪一党に狙われる姫(薬師丸ひろ子)を助けるために集結した八人の犬士(千葉、真田広之、志穂美悦子、京本政樹ら)の壮絶な戦いを描く伝奇物語で、夏木は百年の時を経て蘇った悪霊・玉梓を演じたのである。

 ひらひらの襟がついたゴージャスなマントを引きずりながら、生首を並べた宮殿を歩き、舌なめずりをするように悪事を重ねる妖艶な玉梓。クライマックスでは、宙を舞い、姫を狙う。『南総里見八犬伝』はもともと江戸時代の滝沢馬琴作の大長編小説。玉梓は二百年余り人々を恐れさせた存在であり、この映画では千葉、真田はじめ、パワフルな俳優を向こうに回す大悪役である。

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト