F1はスポーツであると同時にエンターテインメント
──海外のF1中継もチェックされるということですが、日本と大きく違う点って何でしょうか?
サッシャ:海外といっても広いので僕の知っている限りの話ですが、一つには、ドイツ語もそうなのですが、英語では「解説」と「実況」という区別がなく、両方「コメンタリー(commentary)」。アナリスト(解説)サイドのコメンタリーとか、アナウンサーサイドのコメンタリーという言い方をすることはありますが、厳密な区別がないんです。対して日本は、他のスポーツでも、実況は実況だけをして、解説は解説だけをするという役割分担が明確にあるように感じます。
僕はその垣根をできるだけ取っ払いたいと思っていて、解説の方の話を聴いたり相談しながら、自分の考えや気づいたこと、あるいは疑問を提示するようにしています。間違っていたとしても、そこから会話が生まれて、見えてくるものがあるというのが僕の考え方です。
──英語がほとんどできないので数少ない視聴経験ですが、海外のほうがチームや選手への批判や辛辣なコメント、笑いなども多い印象があります。
サッシャ:海外はエンターテインメント性が高いですよね。日本は、F1に限らず、スポーツを神格化するところがあるのかなと感じます。これはいい面でもあるのだけど、プロスポーツは競技であるだけでなくエンターテインメントでもあるので、選手への十分なリスペクトがあった上で、批判があっていいし、時にはいじったり笑ったり、もっと感情的にフランクであっていいんじゃないかな。僕自身はエンターテインメント性も大事にしています。