ライフ

コロナで子供の学力格差が拡大 塾通いの有無で加速する「分断」

学力格差がコロナで広がる(イメージ)

学力格差がコロナで広がる(イメージ)

 たとえ環境に恵まれなくても、努力すれば未来は開ける。なぜ勉強するの? なぜ練習するの? と問われたとき、大人はたぶんそう答えるだろう。だが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、大人にはそう答えられる余裕がなくなってきた。急速に悪化する家計が子供の学力に影響を及ぼし、さらに子供同士で差別感情を抱かせ始めている過酷な現実について、ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
 新型コロナウイルスの子供への感染が広がるなか、新学期が始まることを思い、親たちは落ち着かない日々を過ごしている。自分の子供だけはなんとしてでも守りたい、というのが親心ならば、自分の子供だけにはどうにか勉強をさせたい、スポーツをさせたい、と思うのも、やはり親心である。そんな親心が、コロナ禍に見舞われた子供達の環境を、歪に変貌させている。東京都内の学習塾関係者が打ち明ける。

「コロナ禍で、子供たちの学力や体力に明らかな差が出てきています。当校は比較的授業料も高く、教育に熱心な親御さんが多いため、感染対策で授業がなくなっても、子供用のパソコンやタブレットを買い与え、すぐにリモート授業環境を整えられる方ばかり。コロナ禍による授業の遅れもあり詰め込んだスケジュールになっていますが、その分、塾に通えている子供達の学習スピードは早いんです」(都内の学習塾関係者)

 問題は、家計に余裕がないなどの理由で、塾に行けない子供の存在だ。休校や短縮授業によって大幅な学習遅れが発生しているという学校も少なくない。そのような環境にあって、塾に行かず、学習の機会が学校だけという子供たちは、目に見えて学力が低下しているというのだ。

「そうした家庭は、親御さんが非正規社員などで収入も低く、コロナ禍であっても仕事は休めない。だから、子供の面倒を見る時間も余裕もなく、結果的に子供は置き去りにされています。そんな家庭環境では、よほど勉強が好きでない限り、子供が自発的に学習に取り込むことはほぼないと言っていいでしょう」(都内の学習塾関係者)

 こうした「格差」の傾向はすでに顕在化していて、以前、筆者は取材し記事にしている。たとえば、塾に通っていた生徒でも、両親がコロナの影響で収入が減ったため塾の授業数を減らさざるを得ず、学習機会を奪われるような事態も起きていた。あの後、子供たちを取り巻く環境はますます過酷になっていた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン