芸能

『古見さんは、コミュ症です』池田エライザがハマる理由を考察

(時事通信フォト)

25歳の池田エライザが高校1年生を演じる(時事通信フォト)

 テクノロジーの進化とは裏腹に、意思疎通がなかなか難しい時代である。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘した。

 * * *
 コロナ感染拡大危機の中、トップリーダーのメッセージは国民の心に響かず、万策尽きての首相辞任劇。コミュニケーションの難しさがますます浮き彫りになる昨今。何とNHK総合で「コミュ症」をタイトルに掲げた新ドラマがスタートしました。その名は 『古見さんは、コミュ症です』(月曜午後10時45分)。原作は「週刊少年サンデー」で連載中のオダトモヒト作の同名マンガ。ちなみに「コミュ症」とは他者とのコミュニケーションが苦手な人のこと。

 ドラマの主人公は、超美少女かつ極度のコミュ症、高校1年生の古見硝子(池田エライザ)。誰かに話しかけたくても緊張して表情が固まってしまい言葉が出ないという悩みを抱えています。

 一方、「フツー」がモットーで小心者、超平凡な同級生の只野仁人(増田貴久)はひょんなことから古見さんと最初の友達になる。とはいえ二人の会話は黒板にチョークで気持ちを書きあう独特なスタイル。二人はある目標に向かってぎこちなく健気な一歩を踏み出していく。

 傷付きやすい青春期に誰もが抱えるコミュニケーションへの戸惑い。言葉をかけたいけれど相手に拒絶されたらどうしよう。ひとりで生きていくのはいやだけれど他人の言葉が怖い。会話のキャッチボールがうまくできない、話題が思い浮かばない、言葉で人と距離をとるという感覚がつかめない……。

 繊細かつ普遍的なテーマですが、しかしこのドラマの画面作りはポップです。

 まず興味深いのがキャスティング。ヒロインの古見硝子を演じる池田エライザは25才、凡人の只野を演じる増田貴久は35才。一見して「青春期の若い役者ではない」大人のタレントを意図的に「高校一年生役」の図柄にあてはめる面白さ。溝端淳平の金髪ヤンキー姿もギャグで笑えます。元不登校で自己表現に難アリの高校生役ですが、浮いている感がハンパない。

 画面作りも凝っていてスローモーションを多用したりスモークをかけたり。いくつものカットを切り替えたり……遊び心満載。徹底してカリカチュアされた世界ですが、演出担当が『おっさんずラブ』の瑠東東一郎氏と聞いてなるほど納得しました。

 そう、吉田剛太郎がバラの花束を持ってサラリーマンの春たんに求愛する、というあの荒唐無稽な突き抜け感が、このドラマの随所に見られます。

「コミュニケーションの難しさ」という直球のテーマを、もし十代の役者が等身大で演じたら?  あまりに生々しくリアルなドラマになりそう。しかし、敢えて「大人たち」が演じることでズレ感やパロディ感が出て、見ている側も人物に感情移入しすぎず、「コミュニケーションとは何なのか」という本質的なテーマについて考える。なかなか戦略的なドラマ作りです。

関連記事

トピックス

11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。千葉県の工場でアルバイトをしていた
【ホテルで11歳年下の彼を刺殺】「事件1か月前に『同棲しようと思っているの』と嬉しそうに…」浅香真美容疑者(32)がはしゃいでいた「ネパール人青年との交際」を同僚女性が証言
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
保護者責任遺棄の疑いで北島遥生容疑者(23)と内縁の妻・エリカ容疑者(22)ら夫妻が逮捕された(Instagramより)
《市営住宅で0歳児らを7時間置き去り》「『お前のせいだろ!』と男の人の怒号が…」“首タトゥー男”北島遥生容疑者と妻・エリカ容疑者が住んでいた“恐怖の部屋”、住民が通報
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
《交際説のモデル・Nikiと歩く“地元の金髪センパイ”の正体》山本由伸「31億円豪邸」購入のサポートも…“470億円契約の男”を管理する「幼馴染マネージャー」とは
NEWSポストセブン
学業との両立も重んじている秋篠宮家の長男・悠仁さま(学生提供)
「おすすめは美しい羽のリュウキュウハグロトンボです」悠仁さま、筑波大学学園祭で目撃された「ポストカード手売り姿」
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
「港区女子がいつの間にか…」Nikiが親密だった“別のタレント” ドジャース・山本由伸の隣に立つ「テラハ美女」の華麗なる元カレ遍歴
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
優勝パレードには真美子さんも参加(時事通信フォト/共同通信社)
《頬を寄せ合い密着ツーショット》大谷翔平と真美子さんの“公開イチャイチャ”に「癒やされるわ~」ときめくファン、スキンシップで「意味がわからない」と驚かせた過去も
NEWSポストセブン