ライフ

デルタ株蔓延で進む校内の分断 親が登校派と休校派に分かれて互いを罵倒も

東京パラリンピック、シッティングバレーボールを観戦する生徒ら(イメージ、時事通信フォト)

東京パラリンピック、シッティングバレーボールを観戦する生徒ら(イメージ、時事通信フォト)

 新型コロナウイルスの変異種については、確認された地域の名前ではなく、24文字あるギリシャ文字をつけて呼ばれている。アルファから始まって今は12文字目、ミュー株まで確認されている。いま日本で第5波を引き起こしている5番目のデルタ株は、これまで流行してきた株と比べて子供が感染しやすく、発症や重症化も引き起こしやすいとされる。ライターの森鷹久氏が、保護者と子供の間に立たされた教員たちの困惑と消耗についてレポートする。

 * * *
「デルタ株」の流行により、子供達への感染が拡大する中、夏休み明けの子供達の学校登校についての是非が、あちこちで議論されている。新型コロナウイルスは「子供への影響が少ない」とされていただけに、親や学校が戸惑うことは当然なのだが、一部の保育園や学校ではすでに子供や教師の感染が確認され休校に追い込まれるなどして、親たちが抱く不安は極大化している。そんな親と学校の間に挟まれ苦労しているのが、子供たちと直接向かい合う現場教師たちだ。

「観戦希望の子供達については、7月中には親御さんからの同意書もいただいていて、ほとんど夏休みの予定がないという子供たちも観戦を楽しみにしていました」

 東京都内の公立小学校教諭・藤井朝子さん(仮名・30代)が受け持つクラスは、東京パラリンピック競技の観戦を予定していた。感染対策はもちろん、児童たちの日々の健康観察もマストで、全てをクリアした生徒、教師だけが会場へ行くことができる、という前提で、クラスのほぼ全員の子供達が「観戦したい」と口にした。

「当然、心配な親御さんもいて、参加を見送りたいと相談される人もいました。でも、子供達同士で『なぜ行かないの?』と議論になることも予想されますし、そこは慎重に判断していたんです」(藤井さん)

 ところが、観戦日が近づくにつれ、子供への感染・発症が確認されている「デルタ株」の流行が報じられた。すると、親たち、そして子供たちの心境に、大きな変化があった。

「別クラスで担任を務める同僚が、子供から『先生ってやばいんでしょ、コロナを気にしてない』と言われたそうです。そのクラスには、かなり強い態度で観戦反対を訴える親御さんがいて、そのお子さんだったんですね。かなりショックを受けたらしく、同僚は校長や教育委員会にも掛け合い、どう対応していいのか聞いたのですが『決まったことなので』といわれるだけ」(藤井さん)

 子供の観戦を希望する親からは背中を押され、観戦反対の親たちからは非難を浴び、上司や教育委員会に助けを求めても実質「ゼロ回答」。同僚教師は日を追うごとに憔悴していったという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
会談に臨む自民党の高市早苗総裁(時事通信フォト)
《高市早苗総裁と参政党の接近》自民党が重視すべきは本当に「岩盤保守層」か? 亡くなった“神奈川のドン”の憂い
NEWSポストセブン
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
連覇を狙う大の里に黄信号か(時事通信フォト)
《大相撲ロンドン公演で大の里がピンチ?》ロンドン巡業の翌場所に東西横綱や若貴&曙が散々な成績になった“34年前の悪夢”「人気力士の疲労は相当なもの」との指摘も
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン
イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
《長引く捜査》「ネットドラマでさえ扱いに困る」“マトリガサ入れ報道”米倉涼子はこの先どうなる? 元東京地検公安部長が指摘する「宙ぶらりんがずっと続く可能性」
マンションの周囲や敷地内にスマホを見ながら立っている女性が増えた(写真提供/イメージマート)
《高級タワマンがパパ活の現場に》元住民が嘆きの告発 周辺や敷地内に露出多めの女性が増え、スマホを片手に…居住者用ラウンジでデート、共用スペースでどんちゃん騒ぎも
NEWSポストセブン
アドヴァ・ラヴィ容疑者(Instagramより)
「性的被害を告発するとの脅しも…」アメリカ美女モデル(27)がマッチングアプリで高齢男性に“ロマンス”装い窃盗、高級住宅街で10件超の被害【LA保安局が異例の投稿】
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト・目撃者提供)
《ラブホ通い詰め問題でも続投》キリッとした目元と蠱惑的な口元…卒アル写真で見えた小川晶市長の“平成の女子高生”時代、同級生が明かす「市長のルーツ」も
NEWSポストセブン
亡くなった辻上里菜さん(写真/里菜さんの母親提供)
《22歳シングルマザー「ゴルフクラブ殴打殺人事件」に新証言》裁判で認められた被告の「女性と別の男の2人の脅されていた」の主張に、当事者である“別の男”が反論 「彼女が殺されたことも知らなかった」と手紙に綴る
NEWSポストセブン
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《真美子さんと娘が待つスイートルームに直行》大谷翔平が試合後に見せた満面の笑み、アップ中も「スタンドに笑顔で手を振って…」本拠地で見られる“家族の絆”
NEWSポストセブン