ビジネス

ワクチンをめぐる職場の不協和音 「未接種組」が戦々恐々でいいのか

ワクチン2回接種は全人口の半数超だが、64歳以下は29.5%にとどまっている(イメージ、時事通信フォト)

ワクチン2回接種は全人口の半数超だが、64歳以下は29.5%にとどまっている(イメージ、時事通信フォト)

 厚生労働省は新型コロナワクチン接種について「接種は強制ではなく、あくまでご本人の意思に基づき接種を受けていただくものです」と明言している。そして「職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをすることのないよう、皆さまにお願いしています。仮にお勤めの会社等で接種を求められても、ご本人が望まない場合には、接種しないことを選択することができます」と続けている。だが、この呼びかけとは反対へ向かっている職場が少なからずある。ライターの森鷹久氏が、職場で広がっているワクチン接種をめぐる不協和音についてレポートする。

 * * *
 新型コロナウイルスの新規感染者数は日を追うごとに減少している。これについて「まだ油断するな」、いや「ピークアウトだ」など様々な意見が飛び交い、専門家の間でも見方が分かれている。かしましい議論をよそに、社会や企業は粛々と「元の生活に戻れる」よう、準備を始めている。

 その準備の中で、なんと言っても最重要、大前提とされているのが、社員やスタッフが「ワクチンを接種したか」ということである。都内の中堅建設会社人事部に所属する桜井佑子さん(仮名・30代)によれば、社内の大多数がすでに職域接種によって1回、ないし2回のワクチン接種を終えている。そして、このタイミングで「上」から下ってきた厳命は「社員全員の2回接種」だという。

「出社する社員はワクチンの接種が前提、とする海外企業が出始めているという報道が出て以降、上層部で決定がなされたそうです。これまで、ワクチン接種は『個人の自由』とされていましたが、完全に『強制』になる空気です」(桜井さん)

 ワクチン接種については、厚労省や政治家、自治体やマスメディアも「個人の自由」としてきた。ワクチンを打つことで感染を100%防ぐことは難しいが、未接種よりも確率は減るし、もし感染しても重症化を防ぐことができる。また、他者へうつす可能性も低下する。特効薬がない今、ワクチン接種は個人の「自由」とはいえ、打たない人は周囲から「なぜ」と不思議に思われる。そればかりか最近では、「反ワクチン」「陰謀論者」というレッテルまで貼られてしまうことがある。そうした状況下で実質的な「強制接種」が始まることに、社内の「未接種組」は戦々恐々としているというのだ。

「接種は自由と言いつつ、未接種者がいる部署では、部長が上から厳しく言われて、部長もバツが悪そうに『なんで打たないか、理由を教えて』と未接種者にヒアリングを始めています。そこでも打つつもりがない、というと、今度は業務を止めてまで『ワクチン教育』がはじまります」(桜井さん)

関連記事

トピックス

大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(秋田県上小阿仁村の住居で発見されたクマのおぞましい足跡「全自動さじなげ委員会」提供/PIXTA)
「飼い犬もズタズタに」「車に爪あとがベタベタと…」空腹グマがまたも殺人、遺体から浮かび上がった“激しい殺意”と数日前の“事故の前兆”《岩手県・クマ被害》
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン
チャリティーバザーを訪問された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《4年会えていない姉への思いも?》佳子さま、8年前に小室眞子さんが着用した“お下がり”ワンピで登場 民族衣装のようなデザインにパールをプラスしてエレガントに
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。千葉のビジネス専門学校へ入学しようと考えていたという
「『彼女がめっちゃ泣いていた』と相談を…」“背が低くておとなしい”浅香真美容疑者(32)と“ハンサムな弟”バダルさん(21)の「破局トラブル」とは《刺されたネパール人の兄が証言》
約2時間30分のインタビューで語り尽くした西岡さん
フジテレビ倍率2500倍、マンション購入6.2億円…異色の経歴を持つ元アナ西岡孝洋が明かす「フジテレビの看板を下ろしたかった」本当のワケ
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。アルバイトをしながら日本語を学んでいた
「ホテルで胸を…」11歳年上の交際相手女性・浅香真美容疑者(32)に殺害されたバダルさん(21)の“魅力的な素顔”を兄が告白【千葉・ネパール人殺害】
佳子さまの“着帽なし”の装いが物議を醸している(写真/共同通信社)
「マナーとして大丈夫なのか」と心配の声も…佳子さま“脱帽ファッション”に込められた「姉の眞子さんから受け継ぐ」日本の伝統文化への思い
週刊ポスト
医師がおすすめ!ウイルスなどの感染症対策に大切なこととは…?(写真はイメージです)
感染予防の新常識は「のどを制するものが冬を制する」 風邪の季節に注意すべき“のど乾燥スパイラル”とは?
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」に出席された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《秋の園遊会》 赤色&花の飾りで“仲良し”コーデ 愛子さまは上品なきれいめスタイル、佳子さまはガーリーなデザイン
NEWSポストセブン
真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン