小学生からの人気が絶大

 HIKAKINといえば子供からの人気が高いことでも知られている。小学生向け動画制作教室を運営するFULMA株式会社の調査によれば、2018年から2020年にかけてHIKAKINは『小学生が選んだ好きなYouTuberランキング』で3年連続1位に君臨。2位以下と大きく引き離した投票数を獲得したという。そして天野氏によれば、こうした“子供人気”もHIKAKINがファン数を伸ばし続ける理由と関わっているようだ。

「もともと日本の中で登録者数1000万人を突破していたYouTubeチャンネルは『キッズライン Kids Line』をはじめとするキッズ系が先んじていたんですね。そういう意味ではYouTubeと子供は親和性が高い。見方を変えると、親として子供にどんなYouTube動画を見せるべきか、という問題になってきます。テレビがどんどん浄化されていく一方で、YouTubeには炎上系や迷惑系のような尖った企画もたくさんあります。その中でHIKAKINさんのように安心して見せられるというのは非常に重要な資質になります。

 しかもHIKAKINさんの動画では、子供とコラボレーションすることも多い。そういう点でも視聴した子供にポジティブな影響を与えるでしょうし、安心感や安定感があるからこそ、親御さんからの評価も他のYouTuberとは違ってくる。

 HIKAKINさんの安心感や安定感は、タイアップする企業にとっても重要で、不祥事や炎上のリスクがないということ自体がマーケティング的にはポイントになってきます。最近も国民的コンテンツと言っていいワンピースとコラボしていました。いろいろな企業とコラボレートすることで双方にメリットがありますし、コンテンツビジネスにとっては、インターネット上での話題をポジティブに広げる時にHIKAKINさんを頼るようになっているんだと思います」

 インターネットの世界における、HIKAKINの突出した安心感と安定感。それはコンプライアンスを重視するテレビ的なものをインターネットの世界で体現しているとも言えるのだろうか。この点について天野氏はこう語る。

「HIKAKINさんはテレビとインターネットのいいとこ取りをしているとも言えそうです。昔のインターネットにはアンダーグランドな香りがあって、過激なことでも個人で発信できるカルチャーがあったわけですが、HIKAKINさんはそれとは対極ですよね。穏健派とも言えますが、HIKAKINさんのキャラクターや動画の作り方には、テレビのようにマスに届けるための情報のフィルター、コンテンツのトンマナ(トーン&マナー。様式の一貫性)と近いものがあります。

 一方ではYouTuberならではの良さもあります。個の世界観を作り、HIKAINさんが直接語りかけているような“One to One”を思わせるコンテンツを作っていて、それはカメラワークからも窺えます。そうしたテレビ的なものとインターネット的なものの両方の良さを活かしているというところもHIKAKINさんの魅力の1つと言えるのではないでしょうか」

 HIKAKINは10年前からYouTuberの社会的地位の向上を目指して奮闘し続けてきた。つまるところ、この責任感と継続力そのものが、彼自身の大きな強みでもあるのだろう。

◆取材・文/細田成嗣(HEW)

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