試合終了後に打者と対戦ではダメなのか?
投手の引退試合では“阿吽の呼吸”で打者が三振をするケースもある。もし今回もそうなることがあれば、優勝争いをしているオリックスは貴重なワンアウトを献上することになる。
「これはもっと議論されて然るべき課題でしょう。じゃあ斎藤佑樹が真剣勝負をすれば問題ないのかといえば、そうとは言えない。同じく優勝争いをしているロッテからすれば、『なんで今年一度も投げずに戦力外の投手を登板させるんだ』と思うでしょう。どう転んでも、どちらかのチームを100%納得させることはできないんですよ。
オリックスもしくは日本ハムが大量リードした場面なら良いのかといえば、そうでもない。もし、斎藤佑樹に花を持たせるために三振するなら、打者は貴重な1打席を無駄にするわけです。該当する選手がタイトル争いをしているとか、3割がかかっているなら、なおさら問題ですよ」
興行面を考えれば、シーズン中の引退試合は重要なイベントであり、今後取りやめになることは考えにくい。
「今シーズンもある程度の数字を残している選手や実績のある選手なら、公式戦での開催もいいと思いますが、昨年から一度も一軍で登板していない投手がマウンドに上がることを優勝争いしているオリックスやロッテがどう受け止めるか。経営を考えてシーズン中にこだわりたいなら、試合終了後に打者1人と勝負するなど方法を考え直した方がいい。たとえば、2006年夏の甲子園で斎藤佑樹とも対戦し、『シャッー』の掛け声で人気になった当時鹿児島工業の今吉晃一氏が打席に立ったり、高校の後輩でチームメイトの清宮幸太郎と真剣勝負したりすれば、ファンも楽しめるのでは」
もはや秋の風物詩となっているプロ野球の引退試合。斎藤佑樹のラスト登板は球界に課題を投げ掛けるかもしれない。