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二階俊博氏が力を失って…群馬選出「総理の孫2人」の天国と地獄

二階俊博氏(時事通信フォト)

二階俊博氏が幹事長を外れるが、新たな火種が(時事通信フォト)

 10月31日投開票の総選挙を目前に、一部の選挙区で自民党の公認候補調整が大揉めに揉めている。10月11日に自民党は295人の一次公認を決定。小選挙区の公認候補271人の顔ぶれが固まったが、複数の自民党議員らが立候補を目指している選挙区については調整が間に合わなかった。そのうちのひとつが尾身朝子氏と中曽根康隆氏という現職2人が出馬を目指す「群馬1区」だ。総選挙直前の総理交代によって、“令和の上州戦争”が思わぬ展開を見せている。

 前回2017年の総選挙で群馬1区から出馬して当選したのは尾身氏で、中曽根氏は比例単独(北関東ブロック)での立候補で議席を得た。全国紙政治部記者が解説する。

「細田派の尾身氏の後ろ盾は、同派に大きな影響力を持つ安倍晋三・前首相で、尾身氏の集会に姿を見せるなどして支援してきた。一方の中曽根氏は二階派所属で、二階俊博・前幹事長が後押ししてきた。二階氏が幹事長として取り仕切っていた2017年の総選挙では、複数の自民党議員が出馬を表明した選挙区で、党がいずれの候補も公認せずに無所属で戦わせ、当選したほうを追加公認するといった強引な“二階裁定”があった。二階幹事長が健在なら、今回はそういった豪腕で中曽根氏を当選に導くとみられていた」

 それが総選挙を目前に菅義偉・首相が退陣。二階氏は幹事長を外れ、その二階氏を批判したことで支持を集めた岸田文雄氏が新総理となり、流れは大きく変わった。群馬1区の候補者調整はギリギリまでもつれ、「中曽根氏が前回総選挙のように北関東ブロックの比例名簿順位30位といった扱いであれば、今回は当選ラインに届くか分からない」(同前)という状況だ。

 群馬では、自民党議員同士での限られた椅子の奪い合いの歴史があるが、その歴史がまた繰り返されることになった。県連関係者が言う。

「もともと群馬県は中曽根康弘、福田赳夫、小渕恵三という3人の総理大臣を輩出し、福田氏の息子の康夫氏も首相の座に就いた自民党王国です。中選挙区時代は旧・群馬3区に中曽根、福田、小渕の3氏が並び立ち、自民党同士の激しい票の奪い合いは“上州戦争”とも呼ばれたが、小選挙区制が導入されて旧・群馬3区は新たに群馬4区、5区に分割されました。“3人の議員に対して選挙区は2つ”となり、群馬4区にすでに代替わりしていた福田康夫氏が、5区に小渕氏が振り分けられ、中曽根康弘氏は自民党比例北関東ブロックの終身1位というかたちになったのです。過去のその経緯が、現在の公認争いにつながっているという見方もできる」

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