スポーツ

白毛馬ソダシが挑む秋華賞 父だけでなく母の父の血統的裏付けもある

桜花賞を制したソダシ(時事通信フォト)

桜花賞を制したソダシ(時事通信フォト)

『ウマ娘』のヒットで増えた新たな層の競馬ファンもおそらく大注目のGIが秋華賞だ。現役屈指のアイドルホースは勝ち抜けるのか。競馬ライターの東田和美氏が分析した。

 * * *
 過去10年の秋華賞出走馬177頭のうち桜花賞に出ていたのが58頭、オークス96頭。桜花賞オークスともに出走した馬は46頭で6勝2着5回。1600mと2400mのGⅠを走った春の実績馬はその中間の距離でも強い。これが桜花賞のみ出走の12頭では3着以上がゼロ。オークスのみ出走した馬は50頭で1勝2着1回3着4回。

 牡馬の場合は距離が一気に延びるため、別路線を歩む馬も多いが、それでも皐月賞・ダービーともに出走した50頭のうち6頭が菊花賞馬になっている。やはり春シーズンにクラシックの2レースに出走できて、ここに駒を進めてきたということは、早くから結果を出し、故障や不安が少なく、年間通してコンディションを維持できる強さがあったということだ。

 さて秋華賞といえばディープインパクト産駒。過去43頭が出走して4勝2着5回と存在感を見せている。ただし今回出走する3頭のうち2頭は母の父(BMS)がキングカメハメハだが、この配合によるGⅠ馬はダービー馬ワグネリアンだけ。賞金獲得額では2013年3着のデニムアンドルビーが2番目、今回出走するアカイトリノムスが4番目、ミスフィガロが24番目。ちなみに30番目までのうち18頭が金子真人HDの所有馬だ。

 母の父としてのキングカメハメハは2006年からその座を譲らなかったサンデーサイレンスをようやく抜いて、昨年BMSリーディングのトップに立った。GⅠ馬は6頭いて半数が牝馬。2017年エリザベス女王杯のモズカッチャン(同年秋華賞3着)、三冠馬デアリングタクト、そして今回のソダシ。

 一方父親としてのキングカメハメハを見ると、ここ4年秋華賞への出走がなかった。出走はここ10年でわずか9頭だが3着3回という成績は悪くない。2年目の産駒が3歳になった11年前の秋華賞には大挙5頭が出走しておりアパパネが1着。5着にもレディアルバローザ(前出オールフォーラヴの母)が入っている。また2019年はキングカメハメハを父に持つロードカナロア産駒のアーモンドアイが勝っている。

 ただし今回出走するキングカメハメハ産駒は、3頭のうち2頭の母の父がディープインパクト。この配合のGⅠ馬はゼロで、賞金額3番目がアンドヴァラナウトで6位がアールドヴィーヴル。

 母の父としてのディープインパクトは昨年のBMSリーディングでは5位。今年はすでにキングカメハメハを逆転しており、今後しばらくはトップに君臨するだろうが、GⅠ馬はいまのところキセキだけだ。ディープインパクトが送り出したGⅠ牝馬の産駒が走るのはまだまだこれからなのだろうか。

 昨年のBMSリーディングでディープインパクトを上回る3位だったのがクロフネ。もちろん種牡馬としても優秀で、出走こそ多くないが2011年にホエールキャプチャが3着、2017年にアエロリットが7着、2019年ビーチサンバが5着。

 母の父としては2019年の秋華賞に3頭が出走し、そのうちの1頭クロノジェネシスが勝っている。さらに2014年ショウナンパンドラの母の父がクロフネの父フレンチデピュティ、2015年4着のアンドリエッテの母の父が、フレンチデピュティと同じ父を持つシルヴァーデピュティだ。

 母の父クロフネというGⅠ馬は他にノームコア、レイパパレと3頭とも牝馬。こうしてみると、もっと可能性があった血脈のような気がする。いや、これからもクロフネ系牝馬の産駒は要注意だ。

関連記事

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン