上海での同人誌即売会「COMICUP 24」(2019)で日本の漫画キャラクターに扮するコスプレイヤー(Imaginechina/時事通信フォト)

上海での同人誌即売会「COMICUP 24」(2019)で日本の漫画キャラクターに扮するコスプレイヤー(Imaginechina/時事通信フォト)

 なぜか日本の女性アイドルグループは中国人気がイマイチ、以前からコロナや政情関係なく撤退や事実上の休止が相次いだ。コロナ禍でも衰えない日本の女性声優人気とは雲泥の差、この辺も日本におけるメジャーと、中国などアジア圏におけるメジャーの乖離がみられる。堀江美都子はフィリピンで国賓待遇だし、釘宮理恵が台湾を訪問した時は各地パニックで失神者まで出た。約10年前の話だが、クールジャパン機構の欧米崇拝とハリウッド礼賛という日本のコンテンツ戦略は明らかに間違っていたように思う。「気持ち悪いオタク」とされた日本のオタク産業の価値を知っていたのは中国であり、完全に隙を突かれた。欧米の猿真似でない二次元美少女やアイドル声優こそ現代のジャポニスムだったのに。

「彼らは本気ですよ。中国の芸能界のギャラは日本とお話にならないくらい違いますから」

ハリウッド並みの契約金も用意できる。声優のギャラを10倍、100倍にしてもいい

 中国の芸能界のギャラは日本と桁が違う。末端すら違う。人気俳優は1本の出演料が1億円どころか10億円とギャラの高騰が続いた。中国のトップ女優、ファン・ビンビンの脱税は記憶に新しいだろう。彼女の2017年度の年収は表に出ているだけで50億円。147億円の罰金を支払い昨年復帰したが、これまでの芸能生活で稼いだ金を考えたら痛くも痒くもないだろう。日本で毎年50億円稼ぐ女優などまずいない。巨大な国内市場に加えてアジア圏を見据えた国家的文化戦略の賜物だ。

「日本の女性アイドル声優も同じように価値があると踏んでるようです。とにかく用意できるギャラが桁違いですからね、ハリウッド並みの契約金だって用意できる。とくにソシャゲで世界一稼いでいる国ですから、声優のギャラなんて10倍、いや100倍にしたっていいと言ってました。日本の声優は元のギャラが安いからと」

 ここでも「日本人は安い」だ。日本の専門職や技術職はその能力に比して世界的に「安い」部類となってしまった。すべて国内の理不尽なまでの現場や実際に働く人に対する待遇の悪さに起因するが、アニメーター並みに日本の声優もまたとんでもなく安い。

「調査したら人気の若手アイドル声優でもサラリーマンの初任給くらいしか貰ってないことに驚いたそうです。億稼ぎ出す彼女がなぜと。中国人は今その時だけで評価しますからね。年功序列じゃないですからね。まあそうでしょうと反論できませんでした」

 ひと昔前に比べればアーティスト契約でマシになった若手もいるだろうが、日俳連(日本俳優連合)に加入している個人および事務所の声優である限りランク制に縛られる。つまり億稼ぐ新人アイドル声優でもテレビアニメでは3年目までは1本1万5000円なのだ。同い年の若手芸人がちょい役で10万円貰う傍らで1万5000円。実際はこれに放送時間と目的の利用率など細かい料金が加わるが、新人(ジュニアランク)には適用されないために実際の出演料は事務所の取り分を引いたら想像を絶する安さ、だからこのランク制に縛られないゲームなどの1W単価のワード制は若手にはありがたい話である。もちろん、イベント出演やグラビア撮影、歌唱なども縛りがないため若手の稼ぎの場であり、むしろテレビアニメは知名度アップのための宣伝と割り切るしか無いのが現状である。

「中国のマネジメントだったら年俸制で凄い額になると思います。中国国内で稼げるなら、それこそ億出すでしょうね」

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