芸能

古田新太が7年ぶり主演作で見せた“モンスターぶり”がリアルに怖い理由

古田新太

コミカルな役を演じることが多い古田新太

 9月23日より公開中の古田新太(55才)主演の映画『空白』。本作は、1人の娘を失った父親が、娘の無念を晴らすべくモンスター化し、彼女の死に関わった者たちを追い詰めていくという、人間の感情の“怖さ”を見つめた作品だ。7年ぶりに主演を務めた古田の演技が大きな話題を呼び、公開初週の映画ランキングでは6位につけた。古田の鬼気迫る演技について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。

 * * *
 人間心理をえぐり出す鬼才・吉田恵輔監督(46才)による最新作『空白』。SNSなどの口コミには、「怖いけど泣けて、最後は救われる」「古田新太のモンスターぶりは映画史に残るレベル」など、作品の持つ強烈なテーマと主演の古田の演技に多くの反響が寄せられている。筆者もまったく同感だ。古田の演技に震え上がり、鑑賞後もしばらくは作品の余韻から抜け出すことができなかった。

 本作は、この秋に開催される第34回東京国際映画祭において、特集上映も決定している吉田監督のオリジナル映画。映画『新聞記者』や『ヤクザと家族 The Family』といったエッジの効いた作品を次々とプロデュースし、世に送り出してきた映画会社スターサンズ代表の河村光庸(72才)が、『愛しのアイリーン』に続いて吉田監督とタッグを組んだ作品だ。現代における“罪”と“偽り”、そして“赦し”を描き出している。

 あらすじはこうだ。ある日、1人の女子中学生が事故死してしまう。彼女がスーパーで万引きしようとしたところを店長に見つかり、追いかけられた末、車にはねられたのだ。少女の父親(古田新太)は、それまで娘に対して無関心だったものの、せめて娘の無実を証明しようと奔走。スーパーの店長を激しく追及するうちにその言動は過激化し、恐ろしいモンスターと化していく。

 本作で興味深いのが、“恐怖”を作り出しているのが主人公の古田だけではない点だ。古田演じる主人公・添田にとことん追い詰められていくスーパーの店長役は松坂桃李(33才)が演じている。彼は受けの芝居に徹し、日に日に憔悴しきっていくさまを体現することで、添田がいかに狂気的な人物であるかを観客に訴えている。さらに、娘役の伊東蒼(16才)や漁師である添田の部下を藤原季節(28才)といった若手が好演しているほか、田畑智子(40才)、趣里(31才)、 片岡礼子(49才)、寺島しのぶ(48才)らがそれぞれの立場で“関係者”として登場し、作品のテーマに深みを与えているのだ。

関連記事

トピックス

ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
『国宝』に出演する横浜流星(左)と吉沢亮
大ヒット映画『国宝』、劇中の濃密な描写は実在する? 隠し子、名跡継承、借金…もっと面白く楽しむための歌舞伎“元ネタ”事件簿
週刊ポスト
山本アナ
「一石を投じたな…」参政党の“日本人ファースト”に対するTBS・山本恵里伽アナの発言はなぜ炎上したのか【フィフィ氏が指摘】
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン
今年の夏ドラマは嵐のメンバーの主演作が揃っている
《嵐の夏がやってきた!》相葉雅紀、櫻井翔、松本潤の主演ドラマがスタート ラストスパートと言わんばかりに精力的に活動する嵐のメンバーたち、後輩との絡みも積極的に
女性セブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
思い切って日傘を導入したのは成功だった(写真提供/イメージマート)
《関東地方で梅雨明け》日傘&ハンディファンデビューする中年男性たち デパートの日傘売り場では「同い年くらいの男性も何人かいて、お互いに\\\\\\\\\\\\\\\"こいつも買うのか\\\\\\\\\\\\\\\"という雰囲気だった」
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン