「どれだけ批判されても構わないから映画を観てほしい」と語る優一氏
「まず始めに驚いたのが、監督から『もっと上手に嘘をついて』と指導されたことです。嘘をつくことを自然にやるという作業は本当に難しいですが、“自分とは違う誰か”になることを突き詰めていく作業は“クセになりそうだな”と感じています。僕が演じるのは医師の役ですが、これまで靴職人として人の身体のことを考えてきたので親近感を抱いています。また今回は20分のショートムービーですが、2時間の映画を作れるくらいじっくり撮影をしています。満足いくまで何テイクでも撮り直すという仕事のやり方はいままで経験がなかったので凄く楽しいですね。また靴職人は個人事業主ですが、映画はチームプレー。多くの人と作り上げていくというのも普段と違って刺激を受けています」
アンチでも何でも「映画を観てもらえたら勝ち」
主演を務める林与一氏(79)は俳優一家に生まれ、美空ひばりの相手役として人気を博した昭和の大スター。優一氏は稽古場での林氏の佇まいや会話からも学ぶことが多いと語る。
「初めて本読みに向かう時に、街でふと『粋だな、カッコいいな』と思うおじいさんを見かけたんです。どこか厳そかというか、佇まいが凜としている人だったのですが、歩けども歩けどもその人が近くにいて。で、同じスタジオに入ったところで『この人が林さんか!』とやっと気付いたんです(笑)。マスク姿だったので顔ははっきり分からなかったのですが、ほかの人たちとはどこか佇まいが違いました。
いざ稽古が始まって林さんと休憩時間にお話をさせていただくと、会話のテンポや間が絶妙に聞き取りやすくて声もすごく素敵なんです。発する言葉や動きが力強くて御年79歳とは思えない、目に見えぬ“波動”のようなエネルギーを感じますね」
今月末から信州に入り、本格的に撮影に臨んでいく優一氏。今回の「俳優挑戦」に対して賛否あることは本人も理解している。しかし、本人は「それすらも歓迎」と話す。